ウィーンの変位則

昨日、理想的な黒体をある温度に熱したときに輻射される電磁波(光)の波長依存カーブ(=プランク分布(右の図))について書いたが、ポイントは、
(1) 温度を上げると、輻射強度は大きくなる
(2) 温度を上げると、輻射強度のピークは左(波長が短い方向)に移動する
の2点である。
今日はこのうち(2)について考えてみる。昨日の式を再掲すると

となるが、輻射強度のピークが何に関係するかを求めるには、この式を微分して B (λ) が極大となる λ を求めればよい。途中の計算をさぼってWikiPediaの計算結果だけ書くと
  λ(max) = 0.002898 (1/T)
となり「輻射強度がピークになる波長は、その温度(T)に反比例する」ということが分かる。すなわち、温度が高くなればなるほどピークは左(波長が短い方向)に移動するが、そのピークの波長は温度に正確に反比例する。(クドい!? なおこの式は「ウィーンの変位則」と呼ばれる。)
例えば、太陽の表面温度は5,780Kであるが、その場合のピークの波長は温度5,780Kをこの式に入れて
λ(max) = 0.002898 x (1/5780K)
   = 5.01384 x 10^-7 m
   = 約501 nm
と計算で求める事が出来る。
反対に言うと、ピークの波長を求めると、その物体の温度が分かることになる。
滅茶苦茶熱くて温度計を突っ込めない溶鉱炉の内部の温度を測るには、そこから輻射される光の波長分布を調べてそのピークを求め、上記の式に入れれば良いことになる。