熱輻射(熱放射)について色々考えている。
WikiPediaによると、その定義は下記。
熱輻射とは、熱が電磁波として運ばれる現象。または物体が熱を電磁波として放出する現象をさす。
熱を運ぶ他の方法には、熱伝導、熱対流があるが、熱伝導は物体が移動せず直接触れ合うことにより、対流は流体の流れを媒介させることにより間接的に熱を伝える。どちらも熱は「熱振動のまま」伝わってゆく。
それに対し熱輻射は、輸送元の物体が電磁波を出し、輸送先の物体が吸収することによって熱を運ぶ。この方法だと、二つの物体のあいだに媒介する物質がなく、真空であったとしても熱を伝えることができる。地球が太陽から熱を得ているのは熱輻射の例である。
これまでも何度か書いたが、熱を持っている物質は熱輻射という形で電磁波を出している。人体も机もノートも洋服も、外部からの熱を一度吸収して、その熱を電磁波として出していることになる。吸収しっぱなしだとどこまでも温度が上がっていくので、温度がバランスしている限りは外に向かって輻射してバランスを取っている。(生物体は、外部からの熱だけでは無く、食料として取ったエネルギー源を用いて体内で化学反応を起こす事によっても熱を得ているが。)
以前書いた地球のエネルギー・熱のバランスも同じで、太陽から受け取った輻射熱を結局は全部宇宙空間に戻している。
さて、ここまでは今まで書いてきた事の繰り返しだが、今日は「黒体」と「理想的な輻射」について考えてみたい。
外部から入射する電磁波を通常の物質は何かしら反射して全部は吸収しない。例えば太陽光の下で黄色く見える花は、太陽光のスペクトラムの内のある周波数は吸収するが、吸収しない周波数の光は跳ね返し、その跳ね返された周波数(波長)の組合せが人間の網膜(=脳)に「黄色」として認識される。真っ黒に見える炭とか紙とかも何かしらの周波数を跳ね返しているので人間の眼に見える事になる。反射されなかった電磁波(光)は、一度熱エネルギー(分子の振動)として内部に吸収され、その結果温度が上がり、最後に輻射として外部に放出される(クドくてごめんなさい)。
ここから本題。
さて、あらゆる波長に渡って完全に吸収し、また放出できる物体のことを「黒体」あるいは「完全輻射(放射)体」と呼ぶ。あくまで仮想的な物である。この仮想的な黒体が色々な周波数(波長)の電磁波(光)を吸収した結果、温度が上がる。そしてこの温度の上がった黒体から電磁波が外に向かって輻射される。
この「黒体からの熱などの輻射」を「黒体輻射」という。ある温度の黒体から輻射される電磁波のスペクトル(分布の形)は一定である。温度 T において、波長 λ の電磁波の黒体放射強度 B (λ) は、
で表される。
これを、横軸に波長 λ 、縦軸に輻射強度 B (λ) を取って色々な温度(T)でプロットすると、「プランク分布」という下記の様な分布(カーブ)になる。非常に特徴的な形をしている。形は同じであるが温度(T)によってその強さとピークの位置が変わる事に注目。
この程度の温度(3,500K~5,500K)では、輻射強度のピークは可視光のエリア(400nm~700nm)あたりにある。温度が高くなるほど、輻射強度が大きくなり、そのピークは左(波長が短い方向)に動く。
なお、上のWikiPediaから借用してきたグラフのカーブには色がついているが、この色は無視してください。
(多分)続く