「X線」と「ガンマ線」の違い

レントゲン等で使われる「X線」も、放射性物質から放射される「ガンマ線」も電磁波の1種であり、その電磁波としての振る舞いに違いは無く、波長領域もオーバーラップしている。
その呼び方の違いは「発生機構」によっている。
原子核内のエネルギー準位の遷移を起源とする(=原子核の崩壊によって発生する)もの」を「ガンマ線」と呼び、「軌道電子の遷移を起源とするもの」を「X線」と呼ぶ。更に纏めると下記の様になる。
ガンマ線

  • 放射性核種(放っといたら自分で崩壊する原子核ウラン235/238やプルトニウム239やセシウム134/135/137など)の崩壊を起源とする。
  • 原子核崩壊によって質量や陽子・中性子の比率が変わっても、その原子核には過剰なエネルギーが残存している場合がある。このとき、残存しているエネルギーを電磁波として放出することで原子核は安定に向かう。この現象を「ガンマ崩壊」と呼び、その結果放出される電磁波が「ガンマ線」である。
  • 波長が10pmよりも短い電磁波である。(なお、10pmとは、0.010nmのことであり、可視光の範囲である400nm~700nmに対しても極めて波長が短い。波長が短ければその分エネルギーが大きくなる。)

X線

  • 軌道電子の遷移を起源とする。
  • 例えば、対陰極として銅、モリブデンタングステンなどの標的に、加速した電子ビーム(30 keV程度)を当て原子の1s軌道の電子を弾き飛ばす、すると空になった1s軌道に、より外側の軌道(2p、3p軌道など)から電子が遷移してくる。この遷移によって放出される電磁波が「X線」である。
  • 波長が1pm - 10nm程度の電磁波である。
  • X線の種類をエネルギー(eV)の違いで分けると
    • 超軟X線 (Ultrasoft X-ray)
      • 約数10eV
      • エネルギーが非常に低く紫外線に近いX線
    • X線 (Soft X-ray)
      • 約0.1 - 2keV
      • エネルギーが低くて透過性の弱いX線
    • X線 (X-ray)
      • 約2 - 20keV
      • 典型的なX線 (一部を軟X線に入れたり硬X線に入れる場合もある)
    • X線 (Hard X-ray)
      • 約20 - 100keV
      • エネルギーが高くて透過性の強いX線
      • 波としての性質より粒子としての性質を強く示すようになる。

以上、WikiPediaの記述を大幅に参考にして記述。
(クリーンテックとはあまり関係ないが、最近「電磁波」について色々調べているので自分のメモ代わりに。)