明るさに関しては、昨日書いた様に「光束」「輝度」「光度」「照度」とか色々な物理量があるが、そのなかで、「光度」の単位である「カンデラ」が「SI基本単位7つ」のうちの1つである。(なお「SI基本単位7つ」をおさらいすると、長さ(メートル)、質量(キログラム)、時間(秒)、電流(アンペア)、温度(ケルビン)、光度(カンデラ)、物質量(モル)の7つ。他の全ての単位はこれらの組合せで表すことができる。)
で、カンデラ(cd)の定義(1979年改訂)は、
1カンデラ(cd)は、周波数540×1012Hz(波長555nm)の単色放射を放出し、所定の方向におけるその放射強度が1/683ワット毎ステラジアンである光源の、その方向における光度
である。
で、この定義であるが、昨日の図を右に再掲するが、一番人間が明るいと感じる薄緑の光の周波数(555nm)だけを集中的に単一光として発光した場合の光度であり、その時にのみ「光束」は683ルーメンとなる。
すなわち、他の色(他の周波数の光)がどんなに光をだしても、それはかならず「人間の視覚に対して与える影響の波長に対する重みづけ(分光視感効率:luminous efficiency function)」でさっ引いて計算されてしまう。
例えば、分光視感効率が1/10の波長の光(「橙」あたり?)は、残念ながら683ルーメンの1/10の68ルーメンにしか勘定してくれない。
という事は、「可視領域」の360nm〜830nmの間の周波数の光を満遍なく発光する照明があったとすると、その「光束」は、どんなに効率的に発光していようが
- 683ルーメン x (「グラフの内側の面積」÷「長方形の面積」)
となってしまう。
どうしてこれをくどくど言うかと言うと、今LED照明の「発光効率競争」が盛んで「我が社の新しいLED照明は○○ルーメン/ワット」と言ったりしているが、定義上683ルーメン/ワット以上には絶対にならないという事を確認したかったのと、その裏にはこのような「定義」があり、「分光視感効率(人間の視覚に対して与える影響の波長に対する重みづけ)」が重要な要素を占めているという事です。(えっ、それがどうしたって? それだけなんですけど...)