筆者が熱に拘るのはクリーンテックの色々な所で熱の処理が非常に大事になっているからである。
例えば、太陽光発電パネルは発電セルの温度が上がると発電効率が大きく落ちる。
LED素子は照度が上がれば上がるほど膨大な熱を発生し、この熱の処理(廃熱)が大事になってくる。巧く廃熱しないとLED素子の寿命が一気に短くなる。
太陽光発電パネルもLED素子もその動作原理は基本的に同じで、バンドギャップの違う半導体のN型/P型素子をくっつけ、その接合面(Junction)に電気を流すと発光し、反対に光を当てると電気が流れる。
この際、接合面で熱が発生すると同時に、その熱で電子の移動度(Mobility)が低くなる。かつ接合面を高温に晒し続けると接合面が劣化し最悪壊れる。
例えば6,000ルーメンの総光束を持つLED素子を駆動するには約60Wの電力が必要になるが(100Lm/Wの場合)、その電気エネルギーのうち光に変わるのは約25%位で、残りの75%程度は接合面で熱となってしまう(非常に発光効率が良い場合)。
60Wの75%は45Wでありこれだけのエネルギーが無駄になると同時にこの熱を巧く逃がさないと接合面が非常に熱くなる。45Wのエネルギーを一切廃熱しないと(ヒートシンクとかを付けずLEDのパッケージから空気への自然放熱だけに頼る場合)、(周りの環境とかにもよるが)恐らく200˚C程度に温度が上がる。
焼き肉のホットプレートよりも単位面積あたりの熱密度は高くなると思われる。ホットプレートは1,000W程度のエネルギーを40cm x 20cm=800cm2程度の広さに与えるので1cm2あたり1W程度だが、LED照明の場合上記の45Wを1cm2以下の面積に与える。