確かに、LED照明は白熱電球や蛍光灯に比べて寿命が長いが、設計に気をつけなければ寿命は一気に短くなってしまう。
例えば、
- LEDが発光するのは「P型半導体」と「N型半導体」の接合面(Junction)であるが、この接合面が高温になる。半導体であるため、接合面がある温度以上になるとこの接合面が破壊され発光しなくなる。通常、接合面温度(Junction Temperature)は決して120度とかを超えてはいけないが(70度とか80度を超えると既にかなりまずい)、正しい熱設計がなされていないとあっという間に超えてしまう。
- LEDを照明に使うには、多くの場合「青色LEDチップ」と「蛍光材料」の組合せを用いる。この「蛍光材料」が熱に非常に弱い。「蛍光材料」はLEDチップと接触しているが、LEDチップの高温状態が長く続くと蛍光材料が劣化し発光しなくなる(または明るさが落ちる)。
- LEDチップは直流で動作する為、LED照明器具のなかで「交流→直流変換」を行う。あの小さな電球の中で高温を発する「LEDチップ」と「パワー回路」が同居している。「交流→直流変換」には大容量のコンデンサー(キャパシター)が欠かせないが、電解コンデンサーとかを用いたときに高温が長時間続くと電解コンデンサーが容量を維持出来なくなる(最悪破損する)。
ということで、LED照明の故障ファクターのほとんどは熱起因。
LEDを用いた道路照明とかは、10,000ルーメン必要なので、1ワット(=100ルーメン)のLEDチップを100個程度並べる事が多い。当然非常な高温になります。外気温も場所によっては40度以上になる。ファンを廻すわけにいかないし、水冷にするわけにもいかない。
結局、LEDから発生した熱を一部に集中させないとか、ヒートシンクをうまく用いるとか、熱に強い電源回路を用いるとかの、愚直な努力の積み重ねが必要になる。
右上の写真の道路用のLED照明器具は、某台湾メーカーのものであるが、下に示す様な丁寧な熱設計(ヒートシンク設計)がなされており、日本でも既にかなりの設置実績があるもよう。