=脱炭素の話(15)=

(以下は、物理屋の独り言です。)

(1) 個人的には「脱炭素」と言う言葉にはめちゃくちゃ違和感がある。
(2) 炭素(C)は、全ての生命体にとって不可欠な元素。
(3) WikiPediaの記述を借用すると『炭素-炭素結合で有機物の基本骨格をつくり、すべての生物の構成材料となる。人体を構成する元素の約18%が炭素といわれている。これは蛋白質、脂質、炭水化物に含まれる原子の過半数が炭素であることによる。光合成や呼吸など生命活動全般で重要な役割を担う。地表での炭素の重量比は0.08%にすぎないため、生命は自然界にあるわずかな炭素をかき集めてかろうじて成立している』とあり、如何に炭素が需要な元素か分かる。
(4) 色々な産業活動でも炭素がなければ成り立たない。リチウムイオンバッテリーのアノードもほぼ100%炭素である。
(5) 炭素がいじめられているのは「二酸化炭素地球温暖化に貢献している」と言うだけである。
(6) 今の時点での地球温暖化は大変困るが、数万年前に氷河期から脱するために極めて役に立った現象であるのも事実。
(7) なので、「脱炭素」と言う言葉で「炭素」を悪者にするのはかなり違和感がある。
(8) 発電セクターでも、火力発電所がCO2を排出するが、それ以上に、温まった排水を海に垂れ流して海水温度上昇を引き起こしている問題の方が大きいと思うのだが....
(9) いじめられるべきは、野放図にエネルギー消費を増やした人間だと思う。
(10) 消費されたエネルギーは、有効に活用されようが無駄に捨てられようが、最終的には「排熱」となり地球を温める。なので、エネルギー消費を減らすことが一番大事だと思う。
(11) 発電セクターで化石燃料使用をやめて、再エネを利用するのはもちろんであるが、それ以外にやることは多い。