アリゾナ電力と太陽光発電業界、電気料金の設定でついに合意

アリゾナ州において何年にもわたり議論されてきた電気料金の設定がついに決着した。APS(Arizona Public Service)社は、今回の電気料金設定にあたり多くの関係者が妥協することとなり、また多くの異なる関心事項が認識されることとなったが、消費者にとっては最も良い結果になったと述べている。
APS社は、今回の条件設定書の中では、スマート電力、クリーン電力向けのインフラに対する投資機会が今後もあることが示されていることを明らかにしており、新しい料金体制のもとで消費者はより多くの選択とコントロールを行うことが可能となり、アリゾナ州は今後も太陽光発電分野でリーダーシップを維持していくであろうと述べている。


今回の最終計画では、APS社が当初リクエストしていた、強制的なデマンドレートを創設する案は採用されなかった。その代わり、すべての分散型太陽光発電を設置した所有者は、デマンドベースの料金か時間帯別料金かを選択することができるようになった。太陽光発電を設置していない消費者についてもデマンドベースか時間帯別を選択することが可能となるが、オプションを選択する必要性はない。なお、2018年3月1日以降新しくAPS社の顧客となった者については、はじめから時間帯別料金が適用される。
今回の最終案をACC(Arizona Corporation Commission)が承認した場合、新しい太陽光発電の所有者には、自己消費分とグリッドへの逆送電分の料金についても変更が加えられる。自己消費による相殺分の料金については12セント/kWh程度の金額が設定され、これにはグリッドにアクセスするための費用が含まれている。グリッドへの逆送電分の料金については、ACCが新しく採用したリソースプロキシモデルがベースとなり、12.9セント/kWhに設定される。現在アリゾナ州太陽光発電の所有者には、逆送電分の対価として13-14セント/kWhが支払われている。
今回の最終計画で参照されたRCP(Resource Comparison Proxy)の手法は、一年を通じた value-of-solar proceeding(E-00000J-14-0023)の一部として昨年12月に承認された。グリッドへの逆送電分の料金はRCPに基づいて決定されるか、回避コスト手法(グリッドに提供される分散電源の費用、価値、容量、提供されるサービスを評価した5年間の予想)に基づいて決定されることとなる。逆送電分の料金は1年単位で見直しが行われることとなる。
新規所有者はデマンドベースか時間帯別の料金かを選択することが求められるが、これらのオプションは有効であると太陽光発電の関係者は見解を示している。今回の最終計画ではまた、既存所有者は現行の料金制度に基づく小売価格を20年間にわたり継続することができる。
AriSEIA(Arizona Solar Energy Industries Association)は、今回の最終計画が採用された場合、アリゾナ州太陽光発電産業は縮小することとなるが、現在の市場は維持され、顧客によっては太陽光発電が実用的なオプションとなるであろう、と述べている。
Sunrun社のAnne Hoskins氏は、今回の最終計画が協力的だと賞賛している一方で、太陽光発電アリゾナ州にもたらすメリットが十分には理解されていない、と述べている。最新の研究によると、ルーフトップソーラーの電力は小売料金以上のベネフィットをもたらすことができ、グリッドの近代化や雇用創出、リーズナブルなクリーン電力の選択等を通じてすべての顧客に機会をもたらすことができることが判明している、と同氏は指摘している。
一年ごとに逆送電向け料金の見直しが行われる際に規制当局が分散型太陽光発電のもたらすベネフィットを考慮するよう、Sunrun社及び他の太陽光発電関係者は今後も働きかけをしていくつもりである。
全般的に、今回の最終計画は、一般消費者に対する平均月額料金を$6引き上げることとなるが、当初APS社が提案していた計画よりも$11削減される計算となる。最終計画には、電力効率化に対して総額$15Mのリファンドが行われるなど消費者が享受できるベネフィットが含まれており、また、低所得者層に対する支援向けに$13M分が割り当てられている。料金の引き上げは2019年6月1日までは凍結される。
APS社はまた、低所得者層および複合住宅施設向けに太陽光発電を設置するための費用として$10−15Mの支出を許可されることとなる。APS社は、2022年1月1日までの期間、新規の自家発電に対する猶予期間を設けることに同意している。この発電源には、分散型の電力プロジェクト、再生可能エネルギー、マイクログリッドおよび既存インフラのアップグレードは含まれていない。