フライホイールシステムでの短期間でのエネルギー保存

エネルギーとは、熱、運動、位置、化学反応のやりとりの一形態であり、また人間の体内でのありとあらゆる動き(細胞・腱・脳・臓器)の重要な機動力である。
位置と運動と熱と化学ポテンシャル等を相互にやり取りする事で我々の生活なり、さらに大きく言うと宇宙は成り立っている。その一過性になりがちなエネルギーをどうやって保存するかが今後の人類の生産活動や生活に大きなインパクトを与える。
数億年前の太陽エネルギーを元に蓄えられた化石燃料(石炭・石油・天然ガス)を、人類がふんだんに消費できる時代は今後100年以内に終わる。異論はあるものの、今後は再生可能エネルギーを使わなければいけない。しかし、再生可能エネルギー発電は、自然に依存するために、常に「どうやってエネルギーを保存するか」という議論と背中合わせになる。
「エネルギーの貯蔵」にはいろいろな方法があるが、電力貯蔵という事では、揚水発電が今時点では圧倒的な容量を誇る。リチウムイオンバッテリーは、ここ5年間で極めてドラスティックな価格低下と信頼性向上を成し遂げた。しかし、筆者はもっといろいろな「エネルギーの貯蔵方式」があってしかるべきだと思うし、その一つは「フライホイールシステム」である。
ということで本題。
ハワイ電力(HECO)とAmber Kinetics社は、フライホイールシステムの能力を評価するためのエネルギー貯蔵システムパイロットプロジェクトを共同で実施することを決定した。
Amber Kinetics社は、商業用では初となる4時間分の容量を備えたフライホイールを、オアフ島にあるHECO社のCampbell Industrial Park発電所に設置する予定であり、HECO社は運用時の性能の評価を行う。
HECO社は、2045年までにハワイ州の供給電力を100%再生可能エネルギーで賄うという目標を達成するために、再生可能エネルギーによる供給の安定化、ピーク電力のシフト、フレキシブルな容量、アンシラリーサービス等の用途について検証を行う。


因みに、筆者は物理学徒ということもあり、化学反応によるエネルギーの貯蔵よりも、こういう物理原理(運動や位置)を利用したエネルギー保存に対して思い入れと安心感がある。