家庭用の太陽光発電パネル向けのインバータ

ここ数年間で家庭用インバータの市場は激変していると感じる。
集中型ではなく、「モジュールレベルのパワーエレクトロニクス(MLPE)」は、米国の家庭用太陽光発電市場全体の成長を上回る勢いで台頭しており、米では、2015年に1.5GW以上(!?)のMLPEが設置される見込みである。
この勢いは、MLPEのパフォーマンス向上や運用効率の改善に後押しされている一方で、2014年バージョンのNEC(米国電気規定:National Electrical Code)もまた、この成長を大きく支えていると思う。
北東部で採用されたこのNECは、瞬時のシャットダウンを義務付けるものであるが、この要件はMLPEによって簡単にクリアすることが可能となる。このNEC2014を導入する州では、MLPEのベンダーが優位に立っている。
確かに、火事があって消防士が屋根の上に登る必要があるときに、太陽光発電パネルが10kWとかで直流でバンバン発電を続けていて、そこに消防士が来てケーブルとかに触って感電する危険は非常に高いと思う。(火事だろうがなんだろうが太陽光発電パネルは発電を続けるので。)
今回のNEC2014が大幅な戦略変更や市場変化をもたらす場合、NEC2017においては、さらなる影響をもたらすことを見込まれると思う。
この絵はNEC2014での、瞬時のシャットダウン。

この絵はNEC2017での、瞬時のシャットダウン。

NFPA(全米防火協会:National Fire Protection Agency)の提案によると、NEC2017においては、単一アレイ内での瞬時シャットダウン、およびアレイ内の電圧が80Vに制限される。つまり、すべてのルーフトップソーラーにおいて、モジュールレベル、あるいはアレイ内の瞬時シャットダウンが求められることとなる。
NECによる「瞬時シャットダウンの義務付け」については、幅広い議論が飛び交っている。
低コストのインバータを組み込むSolarCity社やSunru社、SMAT社などは、瞬時シャットダウンがソリューションの信頼性や、消防士の安全性向上につながるかについて疑問を投げかけている。
NEC2017は2017年1月1日に運用が開始されると見込まれており、各州はそれぞれのタイミングに応じて導入していくとみられるが、カリフォルニア州を含む多くの州においては導入が2020年以降になるのではないかと予想されている。NEC2014においては、まずニューイングランド州で採用されたが、多くの州では導入に数年程かかると見込まれている。
現在提案されているNEC2017の要件を満たすためには、具体的に以下の選択肢があるが、どのソリューションも、全てのアプリケーションに対応ができるわけではなく、家庭用、商業用と用途に応じた選択が必要となる。
米国におけるマイクロインバーターの動向や、National Electrical Codeについては、別途お問い合わせください。