FRT(Fault Ride Through)

話が非常に細かくなって申し訳ない。どちらかと言うと自分の忘備録としてアップします。
分散型電源(グリッドに繋がる「太陽光発電」や「風力発電」や「蓄電装置」)が電力系統に対してネガティブスパイラルを起こして大きな問題(停電等)にならない様にするために、FRT(Fault Ride Through)という考え方が近年大事になって来ている。即ち、右下の図で、赤の動作をせずに、緑の動作をするような機能をインバーターに持たせる。

再生可能エネルギー電源を含む分散型電源は、主に、機器保護の観点から、電力系統の電圧または周波数が一定の範囲を逸脱した場合に、自身の保護装置により系統から解列する。
しかし、電力系統の電圧または周波数が本来の運用範囲を逸脱した場合に、分散型電源が大量に脱落することにより、電力系統の電圧または周波数の本来の運用範囲からの逸脱を拡大させ、最終的には電力系統全体の崩壊を引き起こす可能性が懸念されている。
このような問題を防止するため、分散型電源も、電力系統の電圧または周波数が本来の運用範囲を逸脱した場合でも運転を継続し、事故除去後には速やかに発電出力を回復させることで電力系統の安定運用に寄与しようとする機能がFRT(Fault Ride Through)である。
米国では、NERC(North American Electric Reliability Corporation)において、電圧及び周波数に関するFRT要件の標準化に関わる検討が行われている。一方、欧州では、各国ごとに FRT 要件が統一されておらず、風力事業者の団体である EPIA(European Photovoltaic Industry Association)や EWEC(European Wind Energy Association)などが統一に向けた活動を行っ てきたが、欧州統一市場に向けた諸検討の一環として、ENTSO-E(欧州系統運用者の団体)が、 EU 指令 714/2009/EC 及び欧州エネルギー規制庁(ACER)作成の枠組みガイドラインに基づき、EU 統一グリッドコードを作成中である。
(出典:NEDO 再生可能エネルギー技術白書 第 9 章 系統サポート技術)

下図は、太陽光発電装置の FRT(Fault Ride Through)要件を示したものである。(出典:系統連系規程 社団法人日本電気協会
太陽光発電を系統に繋げる為のパワーコンディショナー(PCS、アメリカではインバーターと言う事が多い)は、問題が起こった時にぶちっと停めるだけでなく、こういうスマートな機能を持たなければいけなくなる。