エンタルピーとエントロピー

エンタルピー(enthalpy)というややこしい名前の物理量がある。以下、WikiPediaより。

「熱含量」ともいう。熱力学における示量性状態量のひとつである。
物質の発熱・吸熱挙動、及び、外部に対する仕事量にかかわる値である。
物質が発熱して外部に熱を出すとエンタルピーが下がり、吸熱して外部より熱を受け取るとエンタルピーが上がる。また、物質が他の物質などに仕事をするとエンタルピーが下がり、外部より仕事を受けるとエンタルピーが上がる。
名称が似ているエントロピー(entropy)とは全く異なる物理量である
エンタルピーの次元はエネルギーの次元[J]と等しいが、エントロピーの次元はエネルギー/温度の[J/K]である。
エンタルピーHは以下の式により定義される。
  H = U + PV
(U:内部エネルギー、P:圧力、V:体積)
ちなみにその定義からエンタルピーHとエントロピーSの間には、次のような関係式がある。
  dH = TdS + Vdp

さらに、

エンタルピーは等圧変化を記述する上で有用な物理量である。
熱力学第一法則より以下が成立する。
  dU = dQ - dW
(Q:系に与えた熱量、W:系がなした仕事)
変化が準静的だと仮定すると、d'W=PdVなので、
  dU = d'Q - PdV
ところで、Hの定義と全微分公式から、
   dH = dU + PdV + VdP
である。上の式をこれに代入すると、
   dH = d'Q - PdV + PdV + VdP = d'Q + VdP
となる。ところが、等圧過程においてはdP=0であるから、結局、
  dH = d'Q
となる。
つまり、準静的な等圧過程においては系に与えた熱量が系のエンタルピーの変化と等しくなっている(これは等積過程において系に与えた熱量が系の内部エネルギー変化に等しくなっていることと対応する)。
反応系外に対して仕事をしない化学反応においては、エンタルピー変化と反応熱は等しい。
圧力ゼロにおいては、エンタルピーと内部エネルギーは等価である。 つまり、閉鎖した領域における熱収支は、たとえ膨張しようが、同じであるということである。

かなり本質に近い記述だが、これに関する議論はまた追って。