昨日は「マックスウエルの悪魔」に話が飛んでしまったが、「熱力学第二法則」をもう一度考えてみた。WikiPediaを見ると「この法則には様々な表現がある」と書いて、下記の「表現」を列記して逃げているが、まあ無理に一言で言うよりはこの方が分かり易いかも。
- クラウジウスの法則
- 低温の熱源から高温の熱源に正の熱を移す際に、他に何の変化もおこさないようにすることはできない
- トムソンの法則あるいはケルビンの法則
- 一つの熱源から正の熱を受け取り、これを全て仕事に変える以外に,他に何の変化もおこさないようにするサイクルは存在しない
- オストヴァルトの原理
- ただ一つの熱源から正の熱を受け取って働き続ける熱機関(第二種永久機関)は実現不可能である
- クラウジウスの不等式
- n個の熱源を考え、温度Tiの熱源i(1≤i≤n)からQiの熱を受け取り、その総和分の仕事ΣQiをするサイクルを作ると、Σ(Qi/Ti)=<0である
- エントロピー増大則
- 断熱系において不可逆変化が生じた場合、その系のエントロピーは増大する
で、「熱力学第二法則とは何か」は書いていないが、その割には「熱力学第二法則は証明されていない」と明快に書いてあって思わず苦笑。
現時点で「熱力学第二法則」は、データによる検証という意味では正しいが、証明は未完成であり、統計物理学の懸案事項の一つとなっている。本法則を確立するために、「時間の矢のパラドックス」を解決し、「マックスウェルの悪魔」を否定し、かつ「統計的にエントロピーが増大すること」を証明することが必要となる。
他のサイトを色々サーチしてみても意外に「これは!」というすっきりした定義が無い。上の例に倣って列挙すると、
- 物事は全て乱雑な方向に向かっていて、これを逆に辿ることはできない
- エントロピーは常に増大の方向に進む
- 仕事のエネルギーは全て熱に変えることはできるが、逆に熱を全て仕事に変換することはできない
- 熱いモノと冷たいモノをくっつけておくと、しばらくすると両方とも同じくらいの温度になる。逆は絶対にあり得ない=水を放っておいたら、氷と熱湯に分かれることは無い。
う〜〜ん、ますます分からなくなって来た!?