お金は一杯集めたが、今ひとつ調子が悪くて、CEOを変えたりして苦労している「Nanosolar社」。CIGS(Cu, In, Ga, Se)系の太陽光発電パネルメーカーです。
最近あまり名前を聞かないが、ここのCEOに、GreenTech Mediaがインタビューしているので簡単に紹介します。(右の写真がNanosolar社のセル。)
- 従業員は現在300人
- 本社もセル工場もSan Joseにある
- いままで$400M集めた(すごい)
- もとRambusのCEOだったGeoff Tateが今のCEOで、彼の下で再建(?)中
- 製造コスト
- GreenTechの予想では今の製造コストは$1.35/W
- Mr. Tateによると、今年中に$1.00を切る様にし、2012年末には$0.80の下の方か$0.70の上の方にし、2013年には$0.60台に、2014年には$0.60以下にする
- 生産量
- 去年(2010年)の生産量は2.5メガワットだが、Mr. Tateによると、今年(2011年)は2桁に、来年(2012年)には3桁にする
- 製造能力(生産量では無い)を2011年末には115メガワットに、2012年に250メガワットにしたい(お金が一杯かかりそう)
- モジュール製造(組立)はGermanyのLuckenwalde(ベルリンのそば)で行う
- 発電効率
- 現在の発電効率は10%だが、2012年に12%に、2013年に13%に、2014年に14%にしたい
- ターゲットマーケット
- 発電所レベル(Utility Scale)のパネルの生産に集中する
- 特徴
- Roll-to-rollで「CIGS」のナノ粒子(直径20nm)の「インク(右の写真)」を「ホイル(基板)」に「プリント(印刷)」する
- 1,200メートルのホイル(基板)が、ロールから順次出て来て各種の「印刷」プロセスを経て、反対側のロールに巻き取られて行く
- この印刷プロセスは常温/常圧で行われる
- 今のところ、TCO層だけはスパッタリングが使われているが、これも将来的には「印刷」にしたいそう
- 右の写真がRoll-to-rollで製造している所
- 他社の様にスパッタリングをたくさん使わないため、設備投資額がひくくなり、ワット当たりの製造原価の低減に役立つ(今後の製造能力の引き上げには巨額の投資が要るが、これを少しでも安くしないと勝てない)
- 各セルの発電能力は約2.5ワットで、1メートルあたり29個(枚?)のセルが取れる
とにかく生き残るには、発電効率を高めるだけでなく、ワット当たりの単価をどんどん下げなければ行けない。
今の「モジュールのワット当たりの単価(製造原価)」のリーダーはCdTeのFirst Solarで、$0.75/Wといわれている。(First Solarはこれを、$1.30~$1.50/Wとかで売っている。)
中国のトップクラスの結晶シリコンを使っているメーカーも1ドルを切っている。
今後$0.63/Wとかが勝負の分かれ目になってくるようである。First Solar社の「製造原価引き下げプラン」を下記に再掲。
なお、First Solar社でも「Efficiency(発電効率の引き上げ)」が「ワット当たり原価の引き下げ」の一番大きな(18%~25%)貢献項目になっている。単純な製造原価削減はもう限界になっているのかも。
元ネタはこちら。