下図が、GSM Researchによる「太陽光発電パネルの2011年の予想競争力」の図です。オリジナルはこちらにありますので、拡大してみる場合は参照して下さい。
縦軸がワット当たりのモジュール単価、棒グラフの横幅が各社の年間生産量を示しています。
「ワット当たりモジュール単価」が安いメーカー(価格競争力があるメーカー)が左から順に並んでおり、一番左の一番競争力のあるメーカーがFirst Solar社。これを見るとFirst Solar社の1ワット当たりの単価は75セントぐらいですね。First Solar社の中でも製造拠点によって若干単価が違いますが、それぞれ別々に示されています。2年ほど前、一番安いメーカーでも2ドル/ワットだったのを考えると、急激な価格低下が分かります。
その次に、Trina、Yingi、Suntech等の中国メーカーが1ドル強で続きます。日本メーカーは1ドルをかなり越えており、一番安いSharpのC-Si(結晶シリコン)で1.2ドル強。三菱で1.4ドル強。京セラで1.5ドル近辺。
日本メーカーは、「発電効率が良い」といっていますが、最終的には「1ワット発電するのに幾らかかる」で比較されますので、「発電効率の良い割合よりも高い」ということになります。例えば発電効率が20%良くても、30%高かったら競争力は低くなります。
なお、
- 発電効率と年間発電量は違う(こういう発電コストの計算で使われるのは「ピーク発電量」ですが、曇天でどれ位発電出来るかとか、パネルの温度が上がった場合にどれ位発電出来るかとかも大事)
- パネルの代金が最終的な設置コストに占める割合は実はあまり大きく無いのでモジュールコストの差がそのまま設置コストの差になる訳では無い
- 日本のルーフトップ(屋根の上)の様に場所に制約があるばあいは「単位面積当たりの発電量」というのが大事になる
とかの要素もありますので、一概には言えませんが。
しかし、砂漠地帯とかの安い土地に、大量のパネルを並べる数百メガワット規模のソーラーファームとかでは、やはり「ワット当たりモジュール単価」が大事になって来ます。こういうケースでは、場所の制約も少ないし、パネルの購入費用が全体の費用のかなり大きな比率を占めます。
ちなみに、最近の再生可能エネルギーによる大型発電所(太陽光/太陽熱)の建設コストは1ワット当たり4ドル近辺。すなわち、全体のコストにパネルのコストが占める割合は約1/4。