クリーンテックには関係ないが、非常にエキサイティングなニュースなので紹介。
米航空宇宙局(NASA)は昨年の11月19日「太陽風推進実験衛星『NanoSail-D』」を打ち上げた。
しかし、この衛星(折り畳まれた時のサイズが30x10x10cm)は母船(これも人工衛星)の格納庫からなぜか発射されず失敗に終わった、と昨年の12月11日にNASAが発表。
しかし『NanoSail-D』は数週間(自分で?)母船からの脱出を試み、ついに1ヶ月半後の1月17日に外(宇宙)に飛び出した。そして3日後の1月20日午後10時、搭載されたタイマーによってワイヤバーナーが作動し、衛星のパネルを閉じていたおよそ2.3キロの釣り糸を焼き切り、数秒で薄いポリマーシートが広がり、10平方メートルの帆に。
そして銀色の帆を大きく広げ、地球周回軌道を回り始めた。
Friday, Jan. 21 at 10 a.m. EST, engineers at NASA's Marshall Space Flight Center in Huntsville, Ala., confirmed that the NanoSail-D nanosatellite deployed its 100-square-foot polymer sail in low-Earth orbit and is operating as planned. Actual deployment occurred on Jan. 20 at 10 p.m. EST and was confirmed today with beacon packets data received from NanoSail-D and additional ground-based satellite tracking assets. In addition, the NanoSail-D orbital parameter data set shows an appropriate change which is consistent with sail deployment.
NanoSail-D is designed to demonstrate deployment of a compact solar sail boom technology. This research demonstration could lead to further advances of this alternative solar sail propulsion and the critical need for new de-orbit technologies.
NASAの発表のオリジナルはこちら。
NASAによると、ソーラーセイルは太陽風の力を受ける極めて薄いシートで、衛星が星間を移動する推進力として最も期待されている装置だそうです。なお、『NanoSail-D』は、地球の低い軌道を70日から120日間廻った後、大気圏で燃え尽きる予定。
因に、太陽風は、太陽から吹き出す極めて高温で電離した粒子(プラズマ)のことで、毎秒100万トンもの質量が太陽から放射されている。この風が地球の公転軌道に達するときの速さは約300〜900km/s、平均約450km/s。地球磁場に影響を与え、オーロラの発生の原因の一つとなっている。
なお、日本も頑張っており、イカロスは2010年6月にソーラーセイル展開に成功。7月には太陽光による光子加速の実証に成功。12月には金星から約8万キロメートルまで接近し、金星の写真撮影に成功。下は宇宙機構が1月26日に発表したイカロスから写した金星の写真(右上の三日月型)。手前は、薄膜状の「帆」。
昨年見た「Wall-E」と、先日久々に読み返した「ジルベスターの星から」とともに、感激するニュースでした。
阪口幸雄