Fuel Cell (4)

Fuel Cell発電機が既に北米で実用化されて活躍している例として、フォークリフトがあります。

Sysco社(ネットワーク機器のCisco社ではない)Walmart社やUnited Natural Foods社等の流通会社が、流通センターで稼働するフォークリフトにFuel Cell発電機を採用しだした様です。この辺りで進んでいるのは、PlugPower社で、右の写真はこの会社のGenDriveを搭載したフォークリフトです。なお、PlugPower社は、Fuel Cellのスタック(単板形状の単位セルを重ね合わせたもの)は、カナダのBallard Power Systems社から導入しているようです。
流通センターの中で使われるフォークリフトとしては、ガソリン式では無く、以下のような理由からもともとバッテリー式が使われることが多いそうです。

  • 密閉された空間で使用されるため排気による健康被害が野外で使用される自動車より深刻である。
  • 一定の事業所内だけで使用されることが多いので、公道を走る電気自動車ほど大きなインフラを必要としない。長距離を走るわけではないので、万一バッテリー切れになっても、救援が簡単である。
  • 前車軸より前方に積む荷物と釣り合わせるための重し(カウンターウェイト)を車両後部に装備するほどなので、バッテリーによる重量増が問題になりにくい。

Fuel Cell発電式のフォークリフトは、これらのバッテリー式のメリットに加え、下記のメリットがあるようです。

  • 流通センターの食品冷凍庫では温度が氷点下になるが、この様な低温では鉛バッテリーがうまく作動しない(Fuel Cellも低温には弱いが、一度動き出すと自分の熱で暖まる)
  • バッテリー式では、バッテリーを使い切ったら長い時間をかけて充電しなければいけないので稼働率の低下をもたらすが、Fuel Cell式の場合は水素を補充すればすぐまた使える
  • CO2の排出が少ない

Fuel Cell発電式フォークリフトの導入は、CO2排出削減で大きな効果を持つようで、1台当たりの年間削減量は、ガソリンエンジンフォークリフトとの比較で約 22.4トン、バッテリー式フォークリフトとの比較で約6.6トンの削減が期待されるそうです。

なお、この分野で進んでいるPlug Power社は、インドのタタグループの通信子会社へも、Fuel Cell発電ユニットを供給しているようですね。(これは、バックアップ用の電源かな?)

乗用車向けの採用はまだまだ先ですが、フォークリフトとかデータセンターのバックアップ電源とかの大掛かりな水素供給インフラの必要の無い用途から徐々に広まって行きそうですね。