Fuel Cell (3)

Fuel Cell(燃料電池)は、「CO2を出さない」と言う環境面でのメリットはありますが、既に実用化されている分野では、「燃費が非常に良い発電器」という点をかっているのだと思います。

昨日書いた「Fuel Cellを用いた定置型の発電装置」は、「太陽光発電に比べて発電効率が良い」「天候に左右されない」と言うのが大きなメリットでした。
しかし、バッテリーで作動させなければいけない装置とかで、「作動時間を長くしなければいけないが、バッテリーを大きく(重く)出来ない」「充電では無く燃料補給で動作時間を長くしたい」というケースがかなりあり、ここにFuel Cellの適用の大きなメリットがあります。(もう一つ、「通常のバッテリーは低温での動作が苦手」というのがありますが、これは後日書きます。)

既にFuel Cell発電が適用され、効果を発揮している分野が「宇宙」とか「軍関係」です。
宇宙に関しては、アメリカのジェミニ計画において、地上との通信やコンピュータ用の電源として1965年に打ち上げられたジェミニ3号からFuel Cell発電機が積み込まれました。(右の写真はジェミニ3号。なお、そこで使用されたのは固体高分子形Fuel Cellでした。)
また、アポロ計画でも、アルカリ形のFuel Cellが採用され、1969年にはFuel Cellが積み込まれたアポロ宇宙船が月へ行きました。なお、1970年に打ち上げられたアポロ13号がミッション途中でトラブルが起こしましたが、これはFuel Cell発電機用の酸素タンクの問題でした。
スペースシャトルにもアルカリ形のFuel Cellが積み込まれています。

もう一つの「軍関係」では、無人偵察飛行機への適用がかなり進んでいるようです。 左の写真の様な、米軍が保有する無人偵察飛行機の数は現在5,000機にのぼり、2001年の25倍だそうです。これらの無人偵察飛行機には通常のバッテリーが積まれていましたが、最近はFuel Cell発電機への切替が進んでいるようです。Protonex社は、主に軍向けのFuel Cellを開発していますが、無人偵察飛行機の飛行時間を4倍に延ばす事に成功したということです。

また、軍隊の各人が身に着けなければいけない装備が年々重くなって来ていますが、ロッキードマーチン社は72時間動作可能なFuel Cell発電機を搭載した「歩行支援装置」を開発したという事です。

日本では、Fuel Cell発電というと、「エネファーム」とか「(遠い将来の)車への搭載」とかいうイメージですが、世界では色々な分野で実用化が着実に進んでいます。(「環境」が目的ではありませんが。)