加州の新しいグリッド相互接続ルール、透明性とコスト削減に期待

カリフォルニア州では、2000年のElectric Tariff Rule21の中で、電力網への分散電源リソース接続にかかる規格を設定しているが、6月23日、カリフォルニア州公共事業委員会(CPUC: California Public Utilities Commission)は当該政策のアップデート内容をまとめた。
多くの市場では、相互接続に関する規格が不透明なため、新たな再生可能エネルギープロジェクトは電力網に接続するにあたって多額の費用や時間を費やしている。ディベロッパーは電力網が新規の発電容量を受け取るときにかかる費用を電力会社に支払うが、その金額は必ずしも電力会社の見積りと同額になるとは限らない。見積りは拘束力をもたないことから、実際の費用が大幅にアップした場合ディベロッパーは実際の金額を負担しなければならない。
今回のCPUCの決定では、見込み費用の透明性を高めることによりこの情報のギャップを解消し、ディベロッパーの負担を緩和できるよう考慮されている。今回のアップデートはネットメータリング以外のプロジェクトに適用される。
Interstate Renewable Energy Coalitionの代表弁護士Sky Stanfield氏は、今回の変更によりRule21は全米で最も積極的かつ効果的な規格として機能することができ、消費者やプロジェクトディベロッパー、電力会社等主要関係者にとってプラスとなる、と述べている。
新規の発電容量が電力網に接続される場合、電力会社は接続による既存電力網への影響を検証するが、アップデートが必要ない場合には接続コストは少額に収まる。一方で、既存電力網に負担がかかる場合にはコストが大幅に上がり、$10,000またはそれ以上になる。もし変圧器のアップデートが必要な場合は$100,000程度に跳ね上がり、配電網や分電所のアップデートが必要となる場合には百万ドル単位とさらに跳ね上がることとなる。
今回のCPUCの決定により、5年間のパイロットプログラムが実施されることとなる。同プログラムでは、ディベロッパーの負担を見積り額の125%以内とする上限が定められており、それを超える額については、誤差について妥当な説明がされる場合には消費者負担に、妥当な説明がされない場合には電力会社が負担することとなる。そのため、同プログラムの導入によって電力会社が算出する見積りの精度が向上し、ディベロッパーや消費者の負担が軽減されることが期待される。
分散電源リソースを電力網に接続する際の価格の透明性を向上させるため、CPUCは今回の決定において、電力会社に対してUnit Cost Guideを作成するよう求めている。このUnit Cost Guideでは、典型的な接続にかかる費用をリスト化し、ディベロッパーがより早い段階において費用を検討することができる内容が盛り込まれることが期待される。ディベロッパーは情報をより早く入手することにより、全体の費用を最小限に抑えるためにどの電力網に接続することが望ましいかを検討することができ、ディベロッパー自身が費用や時間を節約できるだけでなく、電力会社や消費者にもベネフィットとなる。
さらに、情報共有の点で、ディベロッパーが事前に特定のロケーションでの接続要件をリクエストすることができる事前申請報告の拡大についても定められており、これによりディベロッパーは申請前によりターゲットを絞ることができるようになる。