2000年〜2001年のカリフォルニア電力危機と同じ様に、良く引き合いに出されるのが、「2003 the north America massive black-out(2003年北米大停電)」である。
こういう「連鎖反応的なダウンの拡大」というのが、送配電システムが複雑になるに従って実に怖い存在である。「行き過ぎた自由化」を米国の色々な機関が恐れているがまさにそうであろう。
電気事業連合会のサイトの説明が分かりやすいので、下記にそのまま転載させて頂く。
2003年8月14日夕刻に発生し、米国北東部およびカナダ五大湖周辺地域でおよそ5,000万人に影響を及ぼした大停電事故。完全な復旧にはおよそ3日を要し、停電による被害総額は40億ドル以上と言われている。
米国オハイオ州の送電線事故に端を発した系統動揺により、原子力発電所22基を含む100カ所以上の発電所が連鎖的にトリップし、供給支障規模は約6,180万kWにおよんだ。
米国とカナダの合同調査団の報告によると、直接的な原因は、オハイオ州の送電系統を管理するファースト・エナジー社の不十分な系統監視や樹木管理にあった。
報告では系統運用者の権限・責任の明確化や、NERCの信頼度基準に強制力を持たせるなどの対応の必要性についても言及がなされた。
WikiPediaの下記の記述も、上記と微妙に違うが参考になる。
アメリカ合衆国4000万人、カナダ1000万人の計5000万人がこの停電による被害を受け、この間の金融赤字は60億ドル(約7000億円)と見積もられた。特に、航空会社や証券取引所は、この日だけで大赤字となった。
ほとんどの交通機関が麻痺した結果、ニューヨーク、クリーブランド、デトロイト、トロント、オタワなどの大都市では、自動車道路が歩道となり、交通麻痺となってしまったため、人の渋滞が発生し、公園や路上で一晩を明かす仕事帰りの人や学生などが多く出た。
また、真夏だったため翌日の日中は気温が30℃以上になったが、エアコンや扇風機が使用できなかった。
原因は当初、様々な説が唱えられていた。報告書ができるものの、未だ様々な説が唱えられている。
現在、最も有力とされる原因は、送電管理システムのダウンにより連鎖反応を起こしたためとされている。
また、停電事故報告書は、早期警告装置が誤作動を起こし、そのうえ、オハイオ州の木の巨大な枝が落下したため、主要な3つの電線路の送電が停止したことが理由だとしている。
なお、我が家の廻りでは、大きな樹があちこちで配電線に絡み付いており、危険きわまりない。冬季のストームで枝が折れると、あっというまに近所が停電になる。