MITの2011年7月の記事を参考に風力発電装置の新しい流れについて。
風力発電装置の中で一番壊れやすいのは、ローターの回転を電力に変換する為の「発電機」。さらにその中の「ギアボックス」が壊れ易い。
最近の3メガワットクラスの風力発電装置では、ローターは1分間に15〜20回転するが、発電機は2,000回転位で発電効率が良くなる。そのため、ギアボックスで回転数を上げる仕組みになっている。車のギアが最初はローでゆっくりトルクをかけていき、スピードとエナーシャーが上がるにつれて、ギアアップしていく様な機構である。
このギアボックスには、風の状況しだいで、不規則で非常に大きな力が一気にかかったりするので壊れる事が多いらしい。今の3メガワットクラスでもそうなので、これから8メガとか10メガに大型化する場合には、ギアボックス無しでローターの回転がそのまま発電機に入る機構(ダイレクトドライブ方式)が必要になってくるらしい。
陸上の設置ならまだしも、オフショアに設置した風力発電装置が壊れたら、その修理は非常に大変で経費がかかる。
DoEが2011年に$7.5Mの補助金を出した10メガワットクラスの風力発電技術のプロジェクト6件のうち、5件がこのダイレクトドライブ方式の技術開発であった。
また、発電機には磁石が必要だが、永久磁石を使うとレアアース(希土類)を使わねばならず、カントリーリスクの高い中国に依存する事になる。また、永久磁石では重量が非常に重くなる。現在の4メガワットクラスの風力発電装置の重量は85トン程度で既に非常に重いが、永久磁石を用いた場合10メガワットでは200トンになると言われている。
そのため、電磁石を用いた発電機の開発が進んでいるが、発電効率を上げる為に超伝導を用いる研究が進んでいる。GEは、磁気共鳴映像法(MRI)に用いられている超伝導電磁石を使うことにより、8メガワットで50トンに抑えられると考えている。
ただしマイナス250℃に冷却しなければいけない。
右上の図はこちらのサイトから借用したダイレクトドライブ方式の機構図。その下がギアボックス方式。