交流電力を使う場合、あまり意識しない隠れたファクターとして「力率」というものがある。英語で言うと「Power Factor」である。
これは何かと言うと、wikipediaでは、
- 力率(りきりつ、Power factor)は、交流電力の効率に関して定義された値であり、皮相電力に対する有効電力の割合である。料金計算などの電力の管理では、パーセントで表される。
というよく分からない説明が出て来る。別のところでは、もう少しまともだが下記の様にやはりよく分からない説明。
- 負荷である機器等に交流電圧Eを加えたとき、その機器に流れる交流電流Iの位相は、一般に電圧Eに対しφだけ進みまたは遅れる。具体的には負荷が純抵抗のときは位相差を生ぜず、コイル等の誘導性負荷のときはφだけ遅れ、コンデンサ等の容量性負荷のときはφだけ進む。電力Pは電流Iと電圧Eの積にその位相差の余弦(cosφ)を掛けたもの「P=E×I×cosφ」となる。このcosφ を力率という。
- 力率とは、皮相電力と有効電力の割合を示しており、電圧と電流の位相差の違いを比率で示したもの。
- 国内で生産・流通している電気機器は、ほとんどがコイル成分で出来ているため、電圧よりも電流が遅れている「遅れ力率」状態となっている。電圧よりも電流が遅れている状態では、負荷で実際に使用される「有効電力」と、負荷と電源間を往復するだけで消費されない「無効電力」が発生する。
- この「遅れ力率」によってロスする電力を含んだ電力は、「皮相電力」と呼ばれる。
- 「皮相電力」は、有効電力と無効電力を含んだ見掛けの電力を示しており、力率が判明していれば、有効に消費した有効電力と消費されない無効電力を知ることが出来る。
言ってみれば電気機器内にコイル(L)とかコンデンサー(C)があると、電力には虚数成分(i)が発生し、電力会社からすれば、ある電力しか使っていないことになっているのに、実は電流は一杯流れてそれ以上の「電流x電圧」を食っていることになる。
個々の電気製品で「力率」を改善することは非常に大事である。いままで、Hf蛍光灯であれば力率はほぼ100%、白熱電球は「L」とか「C」は無いので当然力率100%であるから無効電力は全く発生していなかった。
しかし、小さな電球の中に電源回路をむりやり押し込め、直流変換の為のコイル成分の為に「遅れ」てしまうLED電球や電球型蛍光灯の場合には「力率」はかなり悲惨な値になったりする。
電力危機が叫ばれている中、LEDやCFLにすると消費電力が減ると思いきや、こういう所に落とし穴が在ったりするので注意が必要。
右上の図の場合、電流が電圧に対してφだけ遅れている。このため、電流x電圧(皮相電力)は電力(有効電力)と等しくならない。
(多分続く)