太陽光発電パネル開発ベンチャー企業「Suniva社」

アメリカに本社のある太陽光パネルメーカーのなかで、「First Solar社」とかの大手は、発電効率はそのままに(9%~11%ぐらい)ひたすら原価低減(ワットあたり)に走っているが、ベンチャー企業のなかでは発電効率向上に力を注いでいる所が多い。
例えば、ベンチャー企業の中でも比較的先行しているSuniva社は、セルレベルで19%、モジュールレベルで16%の発電効率を達成したらしい。これは、かなり良い数字。
方式は現在主流の「結晶シリコン」。ただし、Suniva社は、一般的なDiffusion(拡散)を使う方式とは異なり、イオンインプラを用いる。

Suniva is the first PV manufacturer to successfully leverage ion implantation, a technology widely used in semiconductor manufacturing, in the mass production of solar cells.
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Suniva reaches these efficiencies using a uniform single-sided emitter, along with other proprietary innovations, on the front side of the cell. The use of a customized ion implantation step in Suniva’s manufacturing process is based on years of development collaboration with Varian Semiconductor.

う〜ん、加工済のウエハが1枚数千ドルで売れる半導体(~90nm)と違って、1ワット1ドル以下(すなわち、2ワット発電出来る15cm角のセルを$1.50)で売らなければいけない太陽光発電マーケットでイオンインプラを使って元が取れるのか?
インプラの後に高温アニーリングが必要だと思うし、イオンインプラの装置って結構高価だと思うが。設備投資がかなり高くなって、セル単価の上昇分が、発電効率向上分よりも高くなってしまうのでは?
単純計算だが、年間50Mワットの製造能力をもつ工場で、1枚2ワットの発電量のセルを製造しようと思ったら、365日間毎日12時間稼働したとして、
50,000,000W÷2W/Cell÷365Day/Y÷12Hr/Day=5,700 Cell/Hr
となり、1時間あたり5,700枚のセルを処理しなければいけない。インプラの装置が何台要るのだろうか?
このSuniva社は、DOE(Department of Energy)と協議していた$141MのLoan Guaranteeプログラムを蹴って、VC(Venture Capital)からの$115Mの増資で新しい製造工場を作るらしい。
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