質問:『サンフランシスコ地域では熱波で、この週末「計画停電」になるかもと言われてます。「みんながエアコン使うからだよ」と言ったら娘に、「東京ではみんなガンガンエアコンしてるのに停電にならないのは何故?」と聞かれた。何故でしょう???』
回答のようなもの:
1. まずは一般論。
電線に電流をたくさん流すとジュール熱により体積が膨張し、電線は長手方向に伸び、下に垂れます(英語でsag)。どれくらい垂れるかの尺度は「弛度(ちど)」と呼ばれます(図のS)。
定格以上に電流を流しすぎると規定の弛度を越え、送電線の下方にある樹木と接触し、「地絡事故」を起こし、スパークが飛び、山火事につながります。
定格以内であっても、樹木が異常に繁茂して送電線との距離が短くなっていたり、強い横風が吹いたりすると同じような接触地絡事故が起きます。
このため、樹木管理(Vegetation Management)が電力会社の極めて大事な仕事になっていますが、樹木の成長の早い夏場は「イタチごっこ」状態です。
また、大きな電流が流れると、古くて老朽化した送電機器が破壊される危険度が上がります。
2. なぜ日本では計画停電が不要でカリフォルニアでは必要か?
これは、
(1)設計余裕度
(2)保守をどれだけ真面目にやっているか
(3)いざ問題が起こったときに自動復旧できるかどうか
の違いだと思います。