発電効率と熱力学の法則とスターリングエンジン

熱力学の法則を考えるのは、「なんで発電効率ってこんなに悪いんだろう?」と40%とかの発電効率を見てため息をつく時である。「40%の発電効率=60%のエネルギーを無駄に捨てている事」になる。捨てるのは発電の役に立たなかった「熱」である。
日本でもアメリカでも火力発電(石炭、石油、天然ガスに関わらず)と原子力発電と地熱発電で発電のほぼ90%を占めているが、これらは1次エネルギー(原料)を燃やしてそれで蒸気を作りタービンを廻し運動エネルギーを介して発電する(右の図)。
その過程で発電(運動エネルギー)に寄与出来なかった熱が捨てられる。また折角暖まった蒸気を水に戻す為に使った外気なり冷却水なりは廃熱となって空中なり川なり海なりに流れて行く。う〜〜ん、もったいないね。
ところで、昨年はスターリングエンジンに縁のある年だった。もともとスターリングエンジンが好きだったが、アメリカのメーカーや日本のメーカーの良い話や悪い話が色々飛び交った1年であった。
北米ではスターリングエンジンを用いた太陽発電施設の中止が発表された。集熱鏡の先にスターリングエンジンを載せた「ディッシュ型(右の写真)」はいまや「絶滅危惧種」である。
通常の蒸気タービン式の発電もスターリングエンジンも高温と低温の温度差を使う。かつ、発電を続ける為には継続して運動エネルギーへ変換し続ける必要がある(ここが大事)。熱を運動エネルギーに変換する為にはカルノーサイクルに則る必要がある。スターリングエンジンカルノーサイクルに限りなく忠実に則る発電機構なのだが、今の技術では残念ながら蒸気タービン式の発電に勝てない。
で、熱力学の法則が出てくる。別に法則が悪い訳ではなく、この法則は全くその通りなのだが。
問題は発電効率をどうやったら上げられるかという事である。第1法則は100%を超えられないよ(エネルギーは保存するよ)と言っているだけ。そんなの当たり前であるが、ではどうやったら80%とか90%になるのかな、ということである。第2法則は「統計的に言って無秩序の方向に進みますよ」と言っているだけ。
べつにマックスウエルの悪魔が居ても良いのだろう。分子の仕分けの出来る何らかの機構が発明されても良い。
ただ「マックスウエルの悪魔がエントロピーを減少させる事が出来る」と言った瞬間におかしくなるのであって、エントロピーさえ減少させなければ(=増えれば)、悪魔(機構)の存在を許すべきである!?
でも、それって悪魔の定義と違ってくるのかな。
う〜〜ん。Bの箱では確かにエントロピーは増えるが、宇宙空間ではエントロピーを減らす事の出来る(宇宙に秩序を与える)悪魔の存在(重力を超える何か)をどうしても感じてしまうが。