集光型太陽光発電(CPV)の続きです。サプライチェーンの話。
この方式が今ひとつポピュラーでないのは、性能の良いCPV用の半導体セルを作って供給してくれる会社が少ないからだと言います。500倍とか1000倍にコンセントレートされた太陽光から40%とか50%の効率で電気を作り、かつ安くて、寿命が長くなくてはいけない。今のところはIII-V系が有力らしいですが、色々な波長の太陽光を漏れなく集める為に異なるジャンクションが3つ必要(Multi Junction Cell)。
半導体は量が出なくては安くならないので、いつまでたっても「鶏が先か卵が先か」になります。
CPV用の半導体セルを開発している何社かのベンチャー会社がありますが、そのうち少なくともVCからの資金が出ている会社にSolar Junction社、Cyrium社、QuantaSol社というのがあります。しかしCPVシステムを開発している会社以上に経営は苦しいようです。まあ、CPVシステムが売れないのでセルの売上も伸びないですからね〜
このジャンクションが3つあるソーラーセルというのは、LEDの開発プロセスにも近いようで(ちょうどプロセスが反対)、どこかLEDを生産している所が名乗りを上げるかという話しもありました。
というところで、ベンチャー企業でなく、光通信用の半導体デバイスや装置を開発している大手のJDSU社が、正式に量産に名乗りを上げました。しばらく前から噂にはなっていたようですが。JDSU社のプレスリリースはこちら。
なお、JDSU社はこれまで数十年間人工衛星用の太陽光発電システムを供給して来たそうです。
JDSU CPV cells are optimized to capture different parts of the sun's spectrum in multiple junctions, resulting in conversion efficiencies approaching 40 percent, an ideal range for solar system integrators. The CPV cells are specifically designed to capture concentrated sunlight at 500 to 1,000 times its original power. Additional benefits include a small footprint, improved temperature performance, less use of semiconductor materials, and lower cost per kW compared to other photovoltaic technologies.
In addition to its new CPV technology for land installations, JDSU has been providing solar power products to the satellite industry for several decades.
JDSU社は、2020年にはCPVのマーケットが大きく伸びると考えているようです。
サプライチェーンが出来て来るというのは、確かに安心感があるし、何でも自分でやる必要が無くなるのでシステムメーカーとしてはありがたい事です。
右上の写真は、SolFocus社のCPVのシステム。