一昨日、水質悪化に悩むアメリカの湖を話題にしました。
五大湖は、湖に面した工場等よりの排水だけでなく、これらの湖に流れ込む河川の汚染が拍車をかけているようです。特に有名なのは、エリー湖に注ぐカヤホガ川の汚染だそうで、かつては川から出火するほど廃油汚染が酷く、ヒルの類さえも棲まなかっそうです。(今はかなり改善されたようですが)
また「アメリカの湖では水の入れ替えがあまり起こらない」というのも一つの理由でしょうか。
ナイアガラの滝に行くと、すごい量の水が流れていて圧倒されますが、それでもその後ろに控えているスペリオル湖、ミシガン湖、ヒューロン湖、エリー湖の膨大な水量(22,560 km³)に比べると微々たる物でしょう。(因に琵琶湖の貯水量は27.5 km³)
湖の上に降る雨や、山に降った雨が河川を通じて湖に流れ込んできていますが、本当に、こういうところの水を一度汚してしまうと、自然回復力による浄水化には非常に長い時間かかってしまうのではと思われます。
日本の宍道湖や琵琶湖も、水質悪化が問題になっていますが、それでもかなりの雨が年間に降って廻りの河川から大量の水が流れ込み、それが大橋川とか瀬田川、宇治川、淀川となって海に流れて行くので、自然回復力はそれなりにあると思います。(中海をせき止めなくて本当に良かった。)
「水問題」というと、まずは飲み水や下水の事に関心が行きますが、このような生活の基盤になっている「ゆるやかに流れる水系」での問題は、実は非常に大きな問題だと感じます。
「これ以上汚さない」とか「外来種をもちこまない」とか当然ですが、自然回復力が弱いこういう水系での、なにか抜本的な水質改善策とかは無い物でしょうか? この問題はアメリカの方が深刻な割りには、あまりセミナーでも話題にならないし、メディアからも聞こえて来ないですね。
牡蠣の飼育が水質改善に役立つという話はよく聞きますが、こういう研究を是非頑張って欲しいと思います。(牡蠣が新たな外来種になってはびこってもらっては困りますが。)
この分野のアメリカやカナダでの研究を今後ともウオッチして行き、日本の湖で生かせないか考えていきたいと思います。