米最高裁が、先月の6月29日に、『水銀、他大気有害物基準(Mercury and Air Toxic Standards: MATS)』を「否決(?)」し、DC巡回区控訴裁判所に差し戻し、アメリカでは大きな話題になった。
オバマ政権の目玉がダメになる〜〜、というニュアンスだったし、筆者も「う〜〜ん」と唸った。
これに対し米環境保護局(EPA)のGina McCarthy氏は、当該否決はクリーン電力計画に影響を与えることはないと発言。
McCarthy氏は、今回の最高裁の決定は規制自体を取り消すものではなく、またEPAの大気汚染を規制する権限に疑問を投げかけるものでもなく、単に規則制定にあたりもう少し早い段階でコストを考慮すべきであったと指摘しているだけであるとの考えを述べた。
MATSへの対策が必要な発電所の多くはすでに必要な投資をはじめており、また多くの発電所(主に石炭火力)がすでに閉鎖され、再稼働される見込みはない。
これに対しMcCarthy氏は、今回の差し戻しにも関わらずMATSはなお有効であり、電力会社は引き続き対策をとっていく必要があるとしている。
オバマ政権以前と比較し、風力発電は3倍、太陽光発電は20倍に増加しており、クリーン電力計画は米国が国際社会の中で先導するための重要な機会であるとMcCarthy氏は主張している。
MATSに関しても法的に可決されるに足る内容であり、技術的にも正確であり、かつ科学的信頼性も満たしているため、法的問題を問題なくクリアすることができると自信を示した。
なお、今回の差し戻しを受け、具体的に最高裁がどのようなコスト改善を求めているのかを調査し、検討していきたいと述べている。
米国は典型的なCommon Lawの国なので、裁判所(特に最高裁判所)の判決が極めて大事なる。
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