Tesla社がSolarCity社を買収

2ヶ月前の古いニュースではあるが、Tesla社がSolarCity社を買収すると発表。
6月21日の市場クローズ後、Tesla社はSolarCity社の株を$26.50-$28.50/株、総額約$2.5Bで購入することを提案。
以下、GTMの記事を元に、いろいろ考えてみる。

  • Tesla社は買収により、クリーンエネルギー関連製品を垂直に統合する世界唯一の企業となることを目指しているが、同じようなビジョンを持ってVivint Solar社を$2.2Bで買収したSunEdison社は破産に追い立てられた。
    • まあ、SunEdison社によるVivint Solar社の買収は、最初から「無謀!!」という声が多かったから参考にはならないし、Tesla社+SolarCity社とは事情がだいぶ違う。それはそうと、SunEdison社の破産はかなりショッキングなニュースではあった。
  • Tesla社のCEOであるElon Musk氏は、Tesla社がエネルギー貯蔵システム関連サービスの仕上げ段階に入っており、SolarCity社が魅力ある新製品を市場に送り出そうとしている今が好機であると語っている。これに対して投資家の反応は分かれており、Tesla社の株はクローズ後12%下がる一方でSolarCity社の株は15%以上アップ。
  • SolarCity社の株が下がっているためより安価な価格で買収することができる。
  • 2016年に入り、太陽光発電関連の株は下落しており、SolarCity社の株も今年初めより60%近く下落している。そのため、1株あたり21-30%のプレミアムを支払ったとしてもTesla社にとってはリーズナブルな価格であり、Tesla社の株が引き続き好調であることから、同社は堅実なキャッシュフローを維持することができる。
    • まあ、それはそうかもしれない。SolarCity社は、赤字ではあるがキャッシュフローはあるから。
  • Tesla社の小売店販売モデルを活用することによりSolarCity社のソーラーパネル販売状況が好転する可能性が期待される。Tesla社は、自動車メーカーとしては初めて小売店にて自動車を直接顧客に販売するビジネスを行っているが、同様の販売モデルをSolarCity社の太陽光発電事業でも構築したいと考えている。SolarCity社は顧客獲得の難しさに直面しており、太陽光発電装置の価格が下がっている一方で、新規顧客化獲得にかかる費用が増加しているが、Tesla社の小売店販売ビジネスモデルを導入することにより、改善が期待される。
    • う〜〜ん、これはほとんど無理。
  • Tesla社の自動車やエネルギー貯蔵システム購入者がSolarCity社のソーラーパネルにも関心を持つ可能性やその逆の可能性も期待されている。Tesla社のノウハウを活用することによりSolarCity社の製品をより魅力のある製品にすることが期待される。
    • う〜〜ん、これはほとんど無理。そもそも、アメリカにおいて、自宅のルーフトップに太陽光発電パネルを設置しようと考えるお客はほとんど設置を終えており、これから設置しようと思うお客が、自分で小売店に行って、設置を依頼するとはほとんど思えない。
  • Tesla社の新車Model3やエネルギー貯蔵システムのPowerwallは、販売開始前から多くの予約を獲得しており、同社には顧客を魅了することができるデザイン力が備わっている。このノウハウをSolarCity社の製品にも活用することにより、より消費者を惹きつけることができる製品の開発に成功することも期待される。
    • Tesla社のModel3も、エネルギー貯蔵システムのPowerwallもはっきり言ってうまくいっていない。
  • Tesla社のグローバルネットワークを活用し、SolarCity社は太陽光発電・蓄電サービスをオーストラリアやドイツに展開することができる。
    • え、「Tesla社のグローバルネットワーク」? それって、太陽光発電装置にはほとんど関係ないと思うけど...
  • Tesla社は、電力関連ビジネスを包括的に提供することを目指しているが、果たして実現可能かどうかは未知である。
    • 同感。

SolarCity社の現在の赤字の問題点はかなり本質的で、根が深いと筆者は感じている。
Tesla社がSolarCity社を買収したとしても、SolarCity社の業績をすぐに黒字化させることは容易なことではない。