アメリカに於ける再生可能エネルギー発電のTax Grant Programの延長が決定

延長を議会が承認しなければ今年末に切れ、再生可能エネルギーを用いた発電のスリーダウンになるだろうと言われていたTax Grant Programの延長が12月16日の夜にオバマ大統領がサインして決定しました。
このTax Grant Programはもともとブッシュ政権が始めたもので、ここ数年の太陽光発電風力発電の目覚ましい進展を後押しして来ました。
中間選挙で、共和党が躍進しこの手の補助金に反対の共和党が下院で過半数を占め、かつ他に重要案件が目白押しだったので、年末(実質的にはクリスマス前)までの両院での決議は危ぶまれておりました。筆者が3週間前に参加したAWEA (American Wind Energy Association)のシンポジウムでも、「多分駄目かも」ムードが漂っていました。

The U.S. Senate passed of a one-year extension of the Department of Treasury Section 1603 tax grant program in their tax bill compromise. Senators Cantwell, Feinstein, Ensign and LeMieux led the effort to extend the grant program, which has to a large extent helped drive the growth of solar in the U.S. in the last year.
The United States Tax Grant Program (TGP), also known as 1603, has been the main driver for the strong growth of solar in the U.S. in 2010. To date, 1,179 solar projects with total investments of over $1.3 billion in 42 states have been built with support from this program.
It's not exactly a long-term visionary energy policy -- but it will keep U.S. solar industry growth in high gear. And it will keep the U.S. wind industry afloat.
In 2009, the U.S. installed about 435 megawatts of solar. That doubled to about 1,000 megawatts in 2010 and many forecasts point to 2,000 megawatts installed in 2011.

元ネタはこちら。現在計画中の発電所が100ヶ所以上あり、もしTAX Grantが無いと、その多くは中止になった可能性もありました。
補助金に関しては賛否両論がありますが、「経済的合理性」を振りかざすと、どうしても安い石油や石炭に逆戻りし、メキシコ湾やアラスカでの環境破壊を繰り返すことになったり中近東依存から抜け出せないので、(1年間だけの延長ですが)取り敢えずは良かったと考えます。但し、再生可能エネルギーを用いた発電での環境破壊や生態系への悪影響も懸念されており、環境保全に向けたなお一層の努力が必要になります。
また、最近の税収の低下により、生活に密着した所(教育や健康保険)が非常におざなりになっています。全米的に、ここ数年、教員の給料を削減したり、カリキュラムの縮小がどんどん進んだり、教員のレイオフが頻発したりしています。
この状況で、雇用が増えるとは言え、一部の利益に繋がる所にかなり大幅に税金を出す事(Tax Grantなので税金を直接出すわけでは無いが結局同じ事)に対する批判はかなり大きいです。