脱炭素化」はとまらない!

この度、東京大学客員准教授の松本真由美先生と、環境・エネルギー分野の専門家の江田健二先生との共著で『「脱炭素化」はとまらない!』を上梓しました。
なんだかんだで2年かかりました。
何を訴えたいのか途中でわからなくなり『書いては消し』を繰り返したり、右腕が上がらなくなったり、一所懸命書いた50,000文字をページ数の関係で30,000文字に削ったり(涙)と色々ありましたが、出来上がってみればすごく嬉しいです。
私の日本出張に合わせて何度も打ち合わせを持っていただいた、松本先生、江田先生には感謝感謝です。
この打ち合わせがとても刺激的で勉強になり視野が広がりました。
是非アマゾンでご購入を(初刷の部数が少ないので、書店にはほとんど出回らないと思います)。
https://www.amazon.co.jp/「脱炭素化」はとまらない-ー未来を描くビジネスのヒントー-阪口幸雄/dp/4425985214/ref=as_li_ss_tl

コネクテッドホームとエネルギーのデジタル化

昨日は、「コネクテッドホームとエネルギーのデジタル化」と題して、スライド150枚を使って、2時間30分のオンライン講演をさせていただきました。
「エネルギーのデジタル化」は「バズワード」に仲間入りして、ステレオタイプの論評が席巻していますが、私はかなり違った観点で捉えています。

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=追加講演のお知らせ=

6・7月に実施したオンライン講演(全5回)が好評だったので、追加で2回講演することになりました。
今回のテーマは下記です。
【第6回】コネクテッドホームとエネルギーのデジタル化
【第7回】人工知能のエネルギー分野への活用
アーカイブ受講も可能です。

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山火事

5日前(8/17)の雷雨に伴う山火事がまだ鎮火していませんが、明日の日曜日の朝(8/23 5am)から月曜日の夕方(8/24 5pm)にかけて、「雨を伴わない落雷(Dry Lightning)」と「強風(strong outflow winds)」がカリフォルニア州北部を襲う可能性が高く、それらに伴う「山火事」に警戒するようにとの警報が出ています。
Elevated moisture and instability from former Hurricane Genevieve will advance northward later this weekend through early next week and bring an increased potential for high-based thunderstorms across much of Northern California. Lightning can create new fire starts and may combine with strong outflow winds to cause a fire to rapidly grow in size and intensity before first responders can contain them.

輪番停電(rotating outages)

PG&Eから再度「輪番停電(rotating outages)」の警告が来ています。
8月17日から20日までの15時から22時の間に、電力系統運用者(CAISO)の指示により、1〜2時間電気を停めることがあると。
過去の経験では、警告なしで突然停まります。
せめてもの防衛手段として、数時間停電しても冷蔵庫・冷凍庫の食べ物が悪くならないように(🍺がぬるくならないように)、大量の氷を備蓄するようにしています(←これもエネルギー貯蔵)。
CAISOによると、今日もかなり逼迫している模様。
- 今日のピーク予想:48,145 MW 
- 今日の発電能力:51,245 MW

=お詫びと訂正=


昨日のポストで「金曜日の停電は山火事防止のための計画停電(PSPS)だった」と書きましたが、私の早とちりでした。申し訳ありません。実際は「需要増に対して発電リソースが足りなくなりそうだったので輪番停電(Rotating Outages)を実施した」でした。
ご指摘いただいた増田様、大変ありがとうございました。
停電は停電なので、住民としては迷惑以外の何者でもないのですが、PG&EとCAISOの説明文を読むと、「再エネが増え、安定電源が減っていくカリフォルニア州の本質的な問題」であることがわかります。(この問題は別途解説します。)

以下、松田様からのメッセージを引用させていただきます(ご本人の許諾を得ています)。
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昨日(金曜)の計画停電の件、PSPSではないとPG&Eが敢えて言及しているので少々気になりました。
今回は火災リスクではなく、単純に日没後でPVが止まった後、涼しくなって需要が減るまでの間に供給が不足したDuck Curveリスクの顕在化かと理解しておりました。
本日(土曜)は470MWのunexpected outageと1GW風力の悪風況も悪さをした様ですね。
PSPS以外の計画停電は2001年の電力危機以来19年ぶりという報道も目にし、改めてEnergy Transitionの転換期にある事を認識しました。ベースロードも一部再エネに頼る様になった今、IRPにおけるReserve Marginの考え方を見直さないと、毎年同じ事が起きそうですね。
金曜日の停電は需要増以外に理由が開示されておらず、土曜日は需要増+予定外停止+風況悪化と理由が追加で開示されてるのも何故だか気になりますしね。
名声が地に落ちているPG&Eにとっては、送配電 保守管理義務 怠慢が原因のPSPSと違って、今回はCAISOの長期計画失策だと連呼したい気も分かりますが、実際に電気を止めるのがPG&Eである限り市民の理解を得るのは難しく(実際にtwitterでは、だからCCAが良いという誤った論調が散見されます)、少々PG&Eが気の毒ではあります。

CAISO : California Independent System Operator
PSPS : Public Safety Power Shutoff
CCA : Community Choice Aggregation
IRP : Integrated Resource Planning

https://www.pgecurrents.com/2020/08/14/given-strain-on-power-grid-during-excessive-heat-pge-begins-rotating-power-outages-at-direction-of-state-grid-operator/
http://www.caiso.com/Documents/Stage-3-Emergency-Declared-Rotating-Power-Outages-Initiated-Maintain-Grid-Stability.pdf

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