しつこいですが、RPSの話です。
そもそも、RPSは、カリフォルニア州にあるそれぞれの電力会社(75社ある)が、それぞれが販売した総電力を分母として、そのうち再生可能エネルギーで発電された電力を分子として、その比率を各社とも33%以上にしようという政策である。
カリフォルニア州では、相変わらずの縦割りの構造となっているが、ほとんどの発電所は売却されて、電力会社とは別経営になっている。即ち、カリフォルニア州における電力会社とは、送電網、配電網を持ち、電力小売を行っている事業者である。電力は発電事業者から購入する。(水力発電所と原子力発電所はいまだに電力会社に所属している。)
電力の卸での購入形態には、「PPAを結んだ上での相対契約」と、「市場(前日とリアルタイム)での売買」の両方がある。
(なお、余談であるが、CAISOによると「相対契約」で90%以上の取引が終わっており、かつ「相対と前日市場の両方」で99%近い取引となる模様。「当日リアルタイム市場」で取引される電力は数パーセント以下らしい。そもそも2000年の電力危機は、「相対取引を一切許さない」と言うおかしな制度にしたのが大きな間違いであった。余談終わり。)
再生可能エネルギーのRPS比率は、これらの電力会社と発電事業者の間の電力取引の中での比率である。厳密に言うと、電力会社が買った電力量では無く、実際に消費者に売った電力量である。
なので、極めてややこしくなる。
さらに、カリフォルニア州では、電力の30%以上は州外からの輸入であり、カリフォルニア州は再生可能エネルギー発電に限らず、州外の発電所に多くを頼っている。
なお、西部の11州は電力網で繋がっているが、この11州の州知事連合会が、電力融通に関する合意を行っている。またこの州知事連合会が電力を融通する為の電力網の建設の推進力となっている。(電力会社やISOに任せていると、経費負担の分担を巡って、いつまでたっても送電線が敷設されない。)
(11州とは、カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州、ネバダ州、アイダホ州、ユタ州、モンタナ州、ワイオミング州、コロラド州、ニューメキシコ州。)
で、RPSであるが、電力会社が自社で再生可能エネルギー(RE:Renewable Energy)で発電するオプションもあるが、上記の状況なので、基本的には州外も含めて外部のRE発電事業者から電力を買ってきてそれを販売すると言うスタンスとなる。
温暖化ガス(GHG)排出規制も絡んでくる。カリフォルニア州は2020年までに温暖化ガス(GHG)の排出を1990年レベルまでさげるという野心的な目標を持っており、この達成には発電セクターでのGHGの排出を抑えなければならない。もし石炭火力が主ならばこれを抑えれば大幅なGHGの低減が図れるがカリフォルニア州では既に石炭火力はほぼゼロである。なので、待ったなしで化石燃料発電(総発電量の60%を超える天然ガス火力発電)を抑えなければいけない事になる。天然ガス火力発電はもともとGHGの排出は少ないので、かなり大幅に減らさないと、GHG削減の目標は達成されない。
昨日の3つのカテゴリーであるが、ややこしい事が書いているが、枝葉をはしょって、大胆に意訳すると下記となる。
カテゴリー1:カリフォルニア州内で発電・販売された再生可能エネルギー電力(電力とクレジットの両方)
カテゴリー2:カリフォルニア州外で発電して、州内で販売された再生可能エネルギー電力(電力とクレジットの両方)
カテゴリー3:再生可能エネルギー電力は購入せずに、クレジットのみ購入(矛盾しているが..)
この「再生可能エネルギークレジット」は、「REC(Renewable Energy Credit)」と呼ばれており、下記が、カリフォルニア州でのRECの「定義」である。
"a certificate of proof, issued through the accounting system established by the Energy Commission… that one unit of electricity was generated and delivered by an eligible renewable energy resource.
‘Renewable energy credit’ includes all renewable and environmental attributes associated with the production of electricity from the eligible renewable energy resource, except for an emissions reduction credit issued pursuant to Section 40709 ...(以下略)”
例えば、スーパーマーケットのチェーン店が、RECのみ購入して、「我が社はグリーンですよ」という事が可能。