LBNLの報告

ローレンスバークレー国立研究所(LBNL: Lawrence Berkeley National Laboratory)が、分散型及び発電所レベルの太陽光発電市場に関する2つの年次報告書を公表。

LBNLは、分散型および発電所レベルの太陽光発電の市場トレンドに関する2つの年次報告書、Tracking the SunとUtility-Scale Solarを公表。
「Tracking the Sun」の主な内容は以下の通り。
2017年の太陽光発電設置コストの全米中間値は下記であった。

  • 家庭向けシステムでは$3.7/W(前年から$0.2/W、6%ダウン)
  • 家庭向け以外の小規模システムでは$3.1/W(前年から$0.4/W、11%ダウン)
  • 家庭向け以外の大規模システムでは$2.2/W(前年から$0.1/W、5%ダウン)

システムコストは個々のプロジェクト及び州ごとに大きく異なっていた。
州レベルでの2017年の設置コスト中間値のレンジは、

  • 家庭向けシステムが$2.6/W-$4.5/W、
  • 家庭向け以外の小規模システムが$2.2/W-$4.0/W、
  • 家庭向け以外の大規模システムが$2.1/W-$2.4/W

であった。
三大市場であるカリフォルニア州マサチューセッツ州ニューヨーク州については比較的コストが高く、全米中間値を押し上げていた。
長期的な傾向で見ると、家庭向けのシステムの設置コストが下がった要因の46%がモジュール価格、12%がインバーター価格、残りの42%がその他のBOS(balance of systems)及びソフト(営業コスト、接続認可コスト等)コストの下落に関連していた。
設置コストの低下分は、州のインセンティブおよび補助金の段階的廃止により部分的に相殺されている。

「Utility-Scale Solar」の主な内容は以下の通り。

  • 太陽光追跡技術は幅広く採用されており、2017年に設置された電力会社向けのプロジェクトのうち80%近くに採用された。
  • PVプロジェクトの価格中間値は2007-2009年の期間から2/3下落しており、2017年に完成したプロジェクトについては$2.0/Wac (又は $1.6/Wdc)であった。
  • 設置コストの低下及び設備利用率の改善によって電力会社向けソーラーの太陽光発電の「均等化電力購入契約価格(levelized Power Purchase Agreement price)」は急速に低下しており、2006-2012年は平均で年間$20-$30/MWhの低下、2013-2016年は平均で年間約$10/MWhの低下であった。
  • 直近のPPA価格は$40/MWh以下であり、最も低いもので$20/MWh程となっている。
  • 太陽光発電が多く普及しているカリフォルニア州等のエネルギー市場では、PPA価格の下落が、太陽光発電の卸売エネルギー市場価格の低下によって一部相殺された。
  • カリフォルニア州では、2017年 のCAISOのリアルタイム市場における太陽光発電の卸売り価格は、平均の卸売り価格の79%であった。
  • 太陽光発電の普及が少ない地域では、太陽光発電は引き続き平均卸売価格よりも高い価格で取引されている(ERCOTでは127%、PJMでは112%)。
  • エネルギー貯蔵システム導入は太陽光発電の価値を改善する方法の一つであり、最近の蓄電池付太陽光発電システムプロジェクトによると、エネルギー貯蔵装置を追加した場合のPPA価格の上昇分は、一年前の$15/MWhから約$5/MWhまで下落している。