テスラのModel 3

これも、少し古い、2月末のニュースではあるが、テスラ社のModel 3について。

テスラ社は、Model3の進捗について、計画通りに進んでいるが、量産については予想が難しい状況であると説明している。
テスラ社のCEO Elon Musk氏は2月22日、同社の株主に対して、Model3の生産開始時期は予定通り7月となる予定であり、続いて9月には量産体制に入ると述べた。Model3の生産体制は2017年Q4中に5,000台/週間となり、2018年には10,000台/週間までレベルアップすると同社は説明している。
Model3のタイミングは同社にとって非常に重要である。Model3は、$35,000という平均的な価格帯で販売されるはじめての車となる。テスラ社は同車の開発に関して、デザインやより大きいバッテリーの設計に膨大な投資を行ってきた。
Model3の生産がいつ頃量産体制に入るのかを予想するのは非常に難しい。同社のModel Xでは、初期モデルにおいてエンジニアリングおよび製造面で問題があり、生産スピードが何ヶ月もの間スローダウンすることとなった。
同社は、2017年後半については明確な指針を発表しなかった。株主向けの文書には、予定がほんの数週間前後することによって出荷全体のスケジュールに影響がでてくることとなると説明されている。その代わり、2017年前半にModel SとModel Xを合計47,000-50,000台出荷する予定であることが示されている。
今回の業績報告においてMusk氏とCTOのJB Straubel氏は、Model3の生産ではModel Xでの経験を生かすことができると述べており、例えばModel3のデザインはよりシンプルなものとし、生産ラインについては生産プロセスの開始から必要な対応をとっていく予定であることを示している。そのうえで、車の生産には数多くのコンポーネントが必要であり、各コンポーネントの供給計画が同社の生産に大きく影響してくるため、生産規模の拡大を予想することは非常に難しいと説明している。
Model3については、2月に初期プロトタイプの製作を開始しており、予備のクラッシュ試験では良い結果が得られたことを報告している。現在は、Model3向けの新しい製造装置の導入をカリフォルニア州フレモントおよびネバダ州リノのギガファクトリーで開始している。ギガファクトリーでは、Model3および定置用電池に使用される大型バッテリー2170の製造がすでに行われている。
テスラ社は、今年はModel3の設計および生産を確実に実施し、収益をあげることに重点を置いている。一番初めに製造されるModel3のコストは$35,000を大きく上回ると予想されており、Musk氏はModel3の利益率がはじめのうちは悲惨な状況になるであろうと述べている。
General Motors社の電気自動車Boltは$36,000で販売されているが、1車につき$9,000の損失が発生しているとも伝えられている。バッテリーのコストがまだ高い水準にある現状では、低価格帯で展開する電気自動車のすべてが直面する問題ともいえる。
テスラ社はModel3の生産コストを削減するためにあらゆる努力を行っているとみられる。ギガファクトリーでのバッテリーの大量生産では、すでにコストを35%削減することに成功している。また、高級車よりスクリーンやコンピュータの数を削減するなど、スリム化を図っている。
Model3向けのパーツの調達については、7月については2,000台分、8月については4,000台分を予定していることをMusk氏が明らかにしているが、これらは全体の調達の一部分にすぎないため、実際に出荷される台数は異なってくるであろうと述べている。