米国では、エネルギー貯蔵に対する需要が急速に高まっている。
この理由の一つは、出力が大幅に上下する再生可能エネルギー発電が今後急激に増えるため、その変動幅を吸収する必要が有るからである。
こういう「定置型」のエネルギー貯蔵装置が、米国(カリフォルニア州とハワイ州等)で急激に伸びるが、これらのメーカーは自分でバッテリー(特にセル)を開発製造するわけではない。
セル(やモジュール)は、実績があって廉価な製品を主にアジアから購入してきて、自分たちはそれらをインテグレーションする。
そして、グリッドとつながるソフトウエアのアルゴリズムや、ファイナンスモデルで差別化しようとする。
AES Energy StorageやSTEMやSunVerge Energyがその例である。
「定置型向け」以外にも「電気自動車向け」と「モバイル機器向け」のバッテリーのニーズが無くなったわけではなく、むしろグローバルには非常に大きく伸びている。
しかし、米国でこの「モバイル機器向け」のリチウムイオンバッテリーに取り組むところは正直言って多くない。
値段が大きな要因になるだけではなく、安全性等に極めて厳しい要求があり、一つ間違うと、A123の二の舞になる。
という中で、「モバイル機器向け」のリチウムイオンバッテリーメーカーのEnevate社は、製造規模拡大のためのシリーズBラウンドにおいて、3,000万ドルの獲得に成功した。
同社のバッテリーは、シリコンを主要材料とするアノード(陰極)により、高いエネルギー密度が得られることが特徴である。
同社は素材とデザインの変更によって、エネルギー密度を25〜50%高めることができると主張している。
Infinite Potential TechnologiesとBlackberryの共同創立者であるLazaridis氏は、「Enevate社はシリコンの利用により、リチウムイオンバッテリーのパフォーマンスの常識をくつがえすことになる」と述べている。
Enevate社はアーバインに拠点を置くスタートアップであり、獲得資金はモバイルアプリやドローン向けバッテリーの大量生産に使用される予定である。
本技術は、サイズと重さが重要となる用途に適しており、EV市場もまた潜在分野として将来的に導入される可能性もある。
出資元は、Infinite Potential Technologiesの他、Tsing Capital、Draper Fisher Jurvetson、Mission Ventures、CEC Capital、Sumitomo Co.のパートナーであるPresidio Venturesなどが含まれている。
彼らのウエブサイトより、特徴を下記に記す。
- High energy density and high capacity
- Low cell impedance, typically <20mΩ
- Super thin cells down to 2mm or less
- Large cells greater than 70 x 140mm
- 4.3V charge, discharge to 3.3V for compatibility
- Safe designs that include UN38.3, UL1642, CTIA1725, UL2054, IEC62133 certifications
- Fast charge rates up to 2C
- Excellent low temperature performance
The new Silicon-dominant monolithic composite anode combined with the overall battery cell architecture enables high volumetric energy density, structural integrity, and electrical conductivity.