蓄電装置を長い間ウオッチしているが、ここ2〜3年の米国に於けるフロー電池(flow battery)のブームは特筆に値する。
フロー電池で使われる化学物質は色々あるが、今の所はバナジウム(V)を用いるケースが大半を占める。
これは、バナジウムが、2価(2+)、3価(3+)、4価(4+)、5価(5+)の4つの電荷値を取れると言う特徴のある性質による。
カソード側とアノード側に違う化学物質を使った場合、時間が経るにつれてイオン交換膜を通じてそれらの化学物質が混ざりあい、やがて充電能力の低下を引き起こす事になる。
バナジウムの場合は、万一混ざっても性能の低下を引き起こさない。
バナジウムの問題は、その生産地が限られており、価格の高騰のリスクがあることである。
以下、WikiPediaの記述より抜粋する。
物質としてのバナジウムは広範囲に分布し、ほとんどどこにでも存在する。しかし、資源としては偏在性が強く、埋蔵量のほとんどは南アフリカ、中国、ロシアに存在するほか、ベネズエラのオリコタール(超重質油中)やカナダのオイルサンドビチューメンなどの中に、硫黄などと共に含まれる。また、その生産も、上記3か国とアメリカとで9割以上を占める。そのため、供給は不安定なものとなりやすく、これらの国家や生産企業の動向による価格の高騰が、1988、1994、1997、2003、および2004年以降と頻繁に発生している。