カリフォルニア州では、RPS(Renewable Portfolio Standard)制度で2020年までに再生可能エネルギー比率を33%(大型水力を除く)にすることを電力会社に義務付けている。
これに伴い、カリフォルニア州の大手の電力会社3社(PG&E, SCE, SDG&E)は大規模な再生可能エネルギー発電施設(風力や太陽光/熱発電)の導入に動いている。(実際はIPP(Independent Power Producer)が建設・運営し、電力会社はIPPとPPA(Power Purchase Agreement)を結ぶケースが多い。)
大型施設とは別に、住宅やビルの屋根に太陽光発電を設置するケースも増えている。これにともない、Solar City等の、「ファイナンシング、設置、電力会社との手続き」を一手に引き受けてくれる会社も売上を伸ばしている。
カリフォルニア州政府も、大型の発電所とは別に家庭やオフィスビルへの設置(DG : Distributed Generator、分散型発電)を後押ししている。
なお、家庭に設置された太陽光発電パネルは、上記のRPSにはカウントされない。
これらにより、地域によっては、発電量のアップダウンの激しい再生可能エネルギーの比率が異様に高い地域が現れており、信頼性を損なう危険性が出てきている。
今後、再生可能エネルギーが増えるとさらに系統電力網への影響は無視できなくなる。
カリフォルニア州では、独立系統運用機関のCAISO(California independent system operator)が「鴨さんカーブ(Duck Curve)」として新たな問題を提起している。
例えば、春の休日に天気が晴れると、太陽光パネルの発電量は大幅に増えるが、需要はあまりなく、日中の「グリッドからの電力需要」は極端に少なくなる。(通常は日中の発電量と消費量がほぼ比例するので、ピーク消費を押さえる効果が高いが、こういう条件が重なると昼間に急激に落ち込む。)
しかし、日が沈み、出かけていた人が家に帰る時刻になると、太陽光による発電は急速に下がる一方で、帰宅した住民が照明を点灯したり、テレビを見たりして、電力需要は増える。
すなわち、日中に比べて電力需要が極端に増え、発電所の稼働を大幅に上げないと対応できなくなる。これは、発電所にとって大きな負担であり、場合によっては対応不能に陥る。
この状況での、「グリッドからの電力需要カーブ」をプロットしたグラフが右図の様に鴨さんに見える事から「鴨さん曲線(Duck Curve)」という。
(えっ、鴨さんに見えないって?? 鴨さんだと思って見てください!!)
なお、2012年と2013年のカーブは実績で、その下のカーブは今後の予想である。
日中と夜間の発電所への要求ギャップは太陽光パネルの設置が進めば進むほど大きくなり、2013年の6GW程度から2020年には14GWにまで拡大するとCalifornia ISOでは試算している。14GWというと、原子力発電所14基分である。
グラフの縦軸の1目盛が2GW。