風力発電は「風任せ」と言いながら、近年では各種のセンサーやコンピュータ化により、昔に比べれば出力予測の精度は上がって来ている。
- リアルタイム市場と出力予測
- 地域送電系統運用機関(ISO/RTO7)が運用する市場では、リアルタイム市場において5分間隔で発電事業者が入札を行う制度が浸透してい る。
- しかし、ISO や RTO の管区以外の地域では、このような 5 分間隔のスケジュー ル決定の制度は存在しない。連邦エネルギー規制委員会(FERC; Federal Energy Regulatory Commission)が最近推進している制度では、RTO 管轄区域外の電力会社は、 15 分間隔のスケジュール提供(既存の火力発電と風力発電の両方)を義務付けている。
- このような区域に該当する電力各社は、現在同義務の履行に取り組んでいる段 階にある。
- なお、電力会社は、(15 分)より短い間隔でのスケジュール提出を行うことも可能であるが、RTOの管区以外の電力会社はこれを行っていない模様。
- なお、風力発電の場合は予測または気象データの報告のみである。風力発電はリアルタイム市場での取引はまだ行われていない。
- 西海岸
- 主にワシントン州とオレゴン州で運用を行っているボンネビル電力局 (Bonneville Power Administration:BPA)が、1 時間以内、15 分間隔でのスケジュール提出制度を採用している。
- BPA は、連邦制定法により設立された公共電力事業者で、BPAの系統には、多くの風力発電、および水力発電が統合されている。水力発電は、風力発電の変動性に対する系統安定化(Balancing)に最適の電源であり、BPA は水力発電源を多く有しているため、同電源(揚水式水力を含む) を利用できない他の多くの地域よりも風力発電の出力変動に対する安定化において有利である。
- 将来の対応
- 将来的には蓄電池による対応も考えられるが、現時点で同技術はコスト的に商業レベルで実現する段階に達していない。
- このため風力発電および太陽光発電の出力変動性 に対処するには、15 分以下の間隔での予測を行うことが望ましい。
- 風力発電業者が、 先 1 時間のスケジュール間隔をさらに短縮することで(たとえば 5 分間隔等)、より 確実な供給安定化を実現することができる。
- RTOやISO に関しては、風力発電の出力変動への対応には、5分間隔の予測(スケジュール提出)で現時点では十分であることが証明されている。