天然ガス vs. 石炭

米国に於ける発電の主役はずっと石炭火力発電で、10年前には全発電量の50%を石炭火力発電が占めていた。下のグラフは2011年の統計。石炭火力発電が42.1%を占める

その理由は、天然ガスに比べて廉価である事と、値段が極端には上下しない事であった。
下のグラフは米国に於ける過去18年間(1994年~2012年)の両方の値段の変化を示す。天然ガスは、色々な要因に振られて非常に大きく上下するが、石炭は極めて安定していた。

今後どうなるかはまったく分からないが、今年(2012年)の前半、ついに天然ガスの値段(スポット)が石炭を下回った。
天然ガスの値段はこのように激しく上下するが、発電方式としては過去10年間、着実に増えてきた。
下の表は、米国に於ける石炭火力発電と天然ガス火力発電の年間総発電量に占める割合を示す。

石炭による年間発電量は毎年下がり続け、反対に天然ガスによる発電は増え続け、その差がかなり小さくなってきた。
なお、2006年に天然ガスの値段が急上昇し、その後一時期落ち着いたが2008年に再度急上昇した時期に「再生可能エネルギー発電」に弾みが付いた。特に風力による発電所が全米で建設され今の安定した風力発電による電力供給のきっかけとなった。
筆者が2010年後半に参加した風力発電関係者によるシンポジウムでは、関係者一同「どうか天然ガスの値段がもっともっと高くなって欲しい」という切実な雰囲気が感じられた。
なお、2008年はシリコンの値段が激しく上昇した年でもあった。