昨日は「新しい粒子が発見された可能性が高い」というCERNの発表があり、夜飲みに行った焼肉屋でも、良いビールの肴となった。なお、発表ではこの新しい粒子が「ヒッグス粒子」であるとは確定的には説明されていない。
発表スライドでは、「Observation of a new particle consistent with a Higgs Boson 」となっている。
ATLASの説明スライドはこちら。かなりファイルサイズが大きいが、実験データが満載で興奮する。
なお、筆者が物理を専攻していた30数年前には「あくまで仮定の話として」という前提の議論になっていた。ピーター・ウェア・ヒッグスが提唱したのが、1964年。筆者が素粒子論を勉強したのは1978年なので、ヒッグスの提唱からは14年経っている。CERNの建設は始まっていた。
Leon Max Ledermanが書いた本のタイトル「The God Particle: If the Universe Is the Answer, What is the Question?」から、「The God Particle」と呼ばれる事が多いが、Lederman自身は本のタイトルとして「The Goddamn Particle(いまいましい粒子)」としたかったらしい。しかし編集者に反対されて「The God Particle」となったとの事。下記のLedermanの言葉が面白い。
"the publisher wouldn't let us call it the Goddamn Particle, though that might be a more appropriate title, given its villainous nature and the expense it is causing."
「ヒッグス機構」のWikiPediaによる説明が下記。
宇宙の初期の状態においてはすべての素粒子は自由に動きまわることができ、質量がなかったが、自発的対称性の破れが生じて真空に相転移が起こり、真空にヒッグス場の真空期待値が生じることによってほとんどの素粒子がそれに当たって抵抗を受けることになったとする。これが素粒子の動きにくさ、すなわち質量となる。質量の大きさとは宇宙全体に広がったヒッグス場と物質との相互作用の強さであり、ヒッグス場というプールの中に物質が沈んでいるから質量を獲得できると見なすのである。光子はヒッグス場からの抵抗を受けないため相転移後の宇宙でも自由に動きまわることができ質量がゼロであると考える。
なお、ヒッグス粒子の上記の説明や、ニュースに出てくる「自発的対称性の破れ(spontaneous symmetry breaking)」は、WikiPediaでは下記の様に記述されている。
ある対称性をもった系がエネルギー的に安定な真空に落ち着くことで、より低い対称性の系へと移る現象やその過程を指す。
う〜ん、分かった様な分からない様な....