熱伝導率

発熱源であるところの「半導体(P/N)の接合面(Junction)」から熱を効率よく排出するためには、より広くて放射効率の良いヒートシンクに熱を伝達(伝導)しなければいけない。
その熱伝達の経路はすべて熱抵抗を低く(=熱伝導率を高く)する。どんなに立派な巨大なヒートシンクをくっつけても、経路のどこかに熱抵抗の高い所があればそこで一気に熱の伝達が滞り熱源の温度がどんどん高くなるので、気をつけて全ての経路の熱抵抗を低くしなければいけない。
WikiPediaからの引用で申し訳ないが、一般的な材料の室温付近での「熱伝導率」は下記である。(単位: W/m·K)
炭素から作るカーボンナノチューブが圧倒的に良い熱伝導率を持っているがとても高いので実用性無し。金や銀も同様。
ヒートシンクの材料に使われる事が多い素材を赤表示した。特に良く使われるアルミニウムの熱伝導率は236 W/m・K。あまり高いとは言えないが、軽く、安く、細工がし易いのでよく使われる。
括弧内は1cm3あたりの重量。マグネシウムが軽いのが分かる。

  物質名     熱伝導率   比重
カーボンナノチューブ(C) 3,000〜5,500  (10g程度)
ダイヤモンド(C) 1,000〜2,000  (3.5g)
銀(Ag)     420   (10.5g)
銅(Cu)      398   (8.9g)
金(Au)     320    (19.3g)
アルミニウム(Al) 236   (2.7g)
シリコン(Si)   168   (2.3g)
マグネシウム(Mg)  156   (1.7g)
グラファイト(C)  119-165 (2.3g)
真鍮        106
鉄(Fe)      84    (7.9g)
白金(Pt)     70
ステンレス鋼    16.7 〜 20.9
水晶(SiO2)    8
ガラス       1
水(H2O)     0.6  (1.0g)
ポリエチレン    0.41
エポキシ樹脂   0.21
シリコーン(Qゴム) 0.16
木材        0.15 〜 0.25
空気        0.0241  (0.0013g)

アルミより更に軽いマグネシウムも、マグネシウム合金としてヒートシンクに使われる事が増えて来た。先月のLEDのショーでも大きなヒートシンクが必要な所で使われていた。重くても良いパソコンサーバーの中のヒートシンクには銅が使われる事がある。
空気の熱伝導率は極めて低いが、空気は「熱対流」出来るので、ぐるぐる空気を廻せる環境では常に冷えた空気を熱源に触れさせて(熱伝導=分子の運動の伝搬で)熱を奪う事が出来る。