太陽光発電パネルとバッテリーを組み込んだ道路灯

4日前にジャカルタで使われている道路灯を紹介した。写真を下に再掲。

太陽光発電パネル」と「バッテリー」と「道路灯」をそれぞれ別々に購入して組みたてる方式。電力供給インフラのない所でも道路を照らせる。ただし、この道路灯はどう考えても重心が上過ぎて不安定だし、パネルが風にあおられ易い。
ということで、下の写真のやはり電力線が要らない太陽光発電と組み合わせた道路灯。アメリカのある会社が開発して販売中。とてもすっきりしたデザインである。「太陽光発電パネル」がどこにも見当たらない。

からくりは、板状の発電パネルではなく、フレキシブルに曲がる薄膜形式の発電セルをポールの外面(曲面)に組み込んでいる。
諸元を書き並べてみると、
(1) バッテリー

  • 12Vの26A時のバッテリーを2個直列につないで24Vとし、これを3組並列に並べて78A時の容量
  • このバッテリーをポールの下部に内臓(盗難に遭わない)

(2) 照明部分

  • 2,300ルーメンの高性能のLED照明
  • 24Vの直流駆動式
  • 消費電力は34.8W(40Wの白熱電球よりも少ない)
  • 漏れ光がなく光害を引き起こさない
  • 調光可能

(3) 発電パネル

  • ポールの表面の225˚の南向き曲面に設置(南半球の場合は北向き)
  • 発電量は144W(ピーク)
  • 28V~33Vの電圧で発電
  • MPPT(Maximum Power Point Transfer=最適の電圧・電流を自動的に探す)でバッテリーに充電

(4) ポール

  • 高さ:25フィート(7.6m)
  • 太さ(直径):下部(バッテリー内蔵)が10インチ(25.4 cm)、上部(発電パネル)が6インチ(15.24cm)
  • 上部18フィート(5.5m)に上記の柔軟性のある発電パネルを設置

(5) 何日間照らし続けられるか?

  • 78A時のバッテリーにフル充電された場合、充電容量は78A時 x 24V = 1,872W時となる
  • LEDを最大光量の34.8Wで点灯すると、1,872W時 ÷ 34.8W = 53.8時間保つ
  • 仮に1日12時間点灯すると53.8時間 ÷ 12時間/日 = 4.5日となる
  • 日照時間が少なく夜間の長い冬はぐっと短くなるだろうが

(6) 強度

  • 時速150マイル(=秒速66メートル)の風に耐えられる
  • 1インチ(=12.7cm)のボールが時速52マイル(83.7Km)でぶつかっても壊れない

(7) 保証

  • バッテリー:2年
  • 全体:5年

電力線を道路に沿って延々と敷設しなくても、道路脇に穴をあけてこのポールをコンクリートで固定するだけで道路灯が点灯する。
道路だけではなく駐車場や公園でも利用価値がありそう。
ただし、下記の問題も同時に考えられる。

  • 総光束が2,300ルーメンと比較的暗いのでポールの高さを低めにして設置間隔を狭くする必要がある
  • バッテリーには寿命があるので定期的なメンテナンスコストがかかる
  • 薄膜(Thin Film)形式の太陽光発電セルの寿命はシリコンベースの太陽光発電セルよりも短くなると思われる