Ivanpah太陽熱発電施設の経済学

昨日の続きです。
BrightSource Energy社が建設予定の392メガワット(Net発電量)のIvanpah太陽熱発電施設(右:予想完成図)についての経済学です。この記事この記事に寄っかかって書きますが、勘違いとかがあったらごめんなさい。
推定建設コストが$2.14Bでピーク時のNet発電量が392メガワットなので、ピーク時の発電ワットあたりの設置コストは
   $2.14B÷392メガワット = $5.46/ワット(AC)
となります。 (太陽熱の場合はタービンを廻すとACで出てくるのでACのまま計算する。太陽光発電の場合は、インバーターを通す前のDCの発電量でメーカーは発表する。)
太陽光発電のFirst Solar社が標榜している$3.20/ワット(DC)よりは高いですが、Solar Millennium社が建設予定のBlythe太陽熱発電所の $5/ワット(AC)とほぼ同じです。因にBlytheの総発電量は1ギガワットで、Parabolic Trough を使用します。
Ivanpahの年間総発電予想が1,172GWhということなので、逆算すると
   1,172 GWh÷(370ワットx24時間x365日)=34%
となり、この太陽熱発電所の年間発電効率は34%となります。ちなみに、トラフ(雨樋)型の太陽熱発電所の年間発電効率は26%程度、太陽光発電の場合の年間発電効率は20%程度ということですので、悪く無い数字です。BrightSource社によると、30%程度を予測しているそうです。この数字が高ければLevelized Cost Of Electricity (LCOE) が下がり、回収がたやすくなります。
建設コストをピーク時の発電量で割った$5.46/Wという値と、30%という発電効率値で計算すると、Ivanpah発電所の発電コストは$0.17/kWhとなります。
これは、風力発電所(地上)の約2倍、廉価な薄膜を使った太陽光発電(at $0.12/kWh on an LCOE basis)より40%割高だそうです。
Ivanpah発電所はUtility(電力会社)とPPA(Power Purchase Agreement)を結んでおり、売電価格は~$0.17/kWhと言われています。これで、年間の総発電量をかけると年間199Mドルの売電収入となります。
2,140Mドルの投資額をこの年間売上で単純に割ると
  2,140Mドル÷199Mドル/年=約11年
です。この計算には補助金とか、運転経費とか、保険とか、ファイナンスコスト(銀行利子)とか、TAX CREDIT(これがややこしい)とかは入っていません。
あまり、Apple to Appleの比較になっていなくてごめんなさい。