Tarnet Wind Farm開発経緯

昨日の続きです。
この世界一の洋上風力発電プロジェクトにかかったお金は、所謂「プロジェクトフィナンス」モデルで調達。電力会社が出したり国家(イギリス)が出したりした訳でない。非常にややこしいが下記の経緯のようです。

  • 2004年1月
    • 計画発表
  • 発電所開発に当たり「Thanet Offshore Wind Ltd (TOW)」という事業会社をまず設立
    • この時点では、TOWは「Warwick Energy Ltd.(この発電所デベロッパー会社)」が主導するグループが所有(まだ、許可とかは取れていない)
  • 2006年12月
    • 開発許可を収得
    • Thanet received all of the consent required to construct and operate the scheme in December 2006, the first UK Round 2 project to achieve this milestone.
  • 2007年9月
    • TOWを「Christofferson, Robb & Co.」というヘッジファンドが47Mポンド(=64Mドル=5,300億円)で買収
    • Warwick Energy Ltd.はデベロッパー会社のまま残る
  • 2008年8月
    • このヘッジファンドがTOW売りに出す
    • この時点では80Mポンド(=109Mドル=9,040億円)程度で売れる事を期待
    • The developers have increased the value of the project in the past year, gaining planning consent, debt commitments and a connection slot to the national grid.
  • 2008年11月
    • 「Vattenfall社」というスェーデンのエネルギー会社が「CRC Energy Jersey 1 Ltd」と競った末にTOWを35Mポンド(=47Mドル=3,955億円)で収得。想定価格よりかなり安い。
    • この時点で、プロジェクトの完成にはまだ780Mポンド(=1,060Mドル=8兆8,140億円)かかると発表

なかなか激しいですね。ライフラインにかかわる電力発電所がこういう風に売買されるのは、日本人にはなかなかわからない。
ところで、この1基3メガワットの発電能力を持つ100基の風車は500メートルおきに配置され、列と列は800メートル離れているとの事。平均水深は20〜25メートル。遠浅なんですね。