電力信頼性向上のため、CPUCがLSEに対して合計2,500MWの電源を調達するよう指示

カリフォルニア州公共事業委員会(CPUC: California Public Utilities Commission)は複数の小売電気事業者(LSE: load serving entities)に対して、2021年から2023年の間に電力信頼性を確保するために必要となる電源を合計2,500MW調達するよう指示した。

LSEは調達に際し「全ての種類の電源(all-source)」を選択することが認められており、デマンドレスポンス、エネルギー貯蔵システム、電力効率(省エネ)化、再生可能エネルギー、ガス火力発電が含まれている。追加の電源が必要となっている理由として、再生可能エネルギーの高い普及率、4,000MW分の沿岸発電所の閉鎖、水力発電のばらつきの増加など複数の要因があげられている。

下図にはLSEの必要調達量が示されている

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NTT Smile Energy

先週のことですが、NTT Smile Energyに小鶴社長を訪ね、先進のサービス内容について伺いました。
私は米国のソーラーモニタリングや分散電源管理の会社を色々見てきていますが、そのどこにも負けないぐらいの進んだ内容で、とても感動しました。
オフィス環境も素晴らしく、若いかたがハツラツとお仕事なされているのが印象的でした。

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=脱炭素の話(19)=

 (山火事)
山火事が多発するカリフォルニア州は、色々な意味でリスクが大きくなってきている。
2017年の大規模山火事で経営破綻したPG&Eは、火事が発生した際に先手を打って「計画停電」させる準備を整えているが、シリコンバレーもこの「計画停電」の対象地域になっている。
このため、ビジネス向けの大型のエネルギー貯蔵装置のニーズが非常に高くなっている。
以下は、在サンフランシスコ日本領事館から今日届いた通知。
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本8日(火)夜遅くから、カリフォルニア州において、乾燥した強風が流れ込むとの気象予測に伴い、山火事発生の危険性が高まっています。
今次山火事対策の一環として、当地電力会社による計画停電が実施される可能性もあります。今後も予想される火災及び停電に備え、日頃から備蓄等に心がけて下さい。
1 カリフォルニア州においては、既に複数の森林火災が発生する中、本8日(火)夜遅くからの乾燥した強風の気象予想に伴い、山火事発生の危険性が指摘されています。
2 山火事対策として、当地電力会社Pacific Gas and Electric Co.(PG&E)は、明9日(水)以降、北部、中央、沿岸及びベイエリアを含む約30郡において、計画停電いわゆる「Public Safety Power Shutoff (PSPS)」を実施する可能性があると発表しております。停電の日時や場所については、気候等の状況により判断され、数日間続く可能性もあると指摘しています。

=脱炭素の話(18)=

(海水面上昇)
ハワイ滞在時によく行く某ホテルのバーで撮った写真。
数年前からビーチに面する遊歩道が「完全通行止」になっている。
私自身、この10年間で明らかに海水面が上昇していると感じる。
ワイキキビーチや繁華街周辺にある道路にも海水が押し寄せるケースが増えているらしい。
今後数十年のうちに洪水の増加、海岸の侵食、インフラの喪失により、州にある多くの地域で被害が発生するとみられている。
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=脱炭素の話(17)=

 (停める火力発電所の代替は再エネで?)
カリフォルニア州にある「OTC発電所」29箇所、31GWを2030年までに全部停止するわけだが、この31GWを再エネで代替する計画になっているが、問題はその変動(短期と長期)。
再エネ発電が20%程度なら、残りの「同期発電」がカバーできるが、40%を超える時点で大きな問題になる。
今の時点では、「エネルギー貯蔵装置頼み」であるが、このトランジションに間に合うかどうかが極めて微妙である。
図は、カリフォルニア州の2030年時点での、エネルギーミックス予想。
ピーク需要(35GW程度)をはるかに越すソーラー発電量である。
(黄色:ソーラー、緑:風力、青:そのほかの「同期発電」)

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=脱炭素の話(16)=

 (温まった冷却水を太平洋に流さない話)
発電所でスチームの冷却に使って温まった冷却水(海水)をそのまま海に投棄しているOTC(Once Through Cooling)が、海水温度上昇の一因となっている。
カリフォルニア州にはこれらの「OTC発電所」が29箇所あり、発電容量としては31GWと、同州の通常のピーク需要の35GWにほぼ相当する。
同州は、2010年から計画的に廃棄しており、2018年の時点で19発電所の20.6GWが停まった。
これから残りの10発電所を停めていく。
まずは来年(2020年)末までに6.3GWを停止。
その後、2030年まで9年かけて残りの3.8GWを停めていく。
なお、「カリフォルニアは温暖」だと考えている日本の方が多いですが、アラスカから流れてくる寒流のせいで、サンフランシスコ近辺では夏でも海で泳げません。
ラッコさん等の寒流で生活する生き物が西海岸にはとても多いです。

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=脱炭素の話(15)=

(以下は、物理屋の独り言です。)

(1) 個人的には「脱炭素」と言う言葉にはめちゃくちゃ違和感がある。
(2) 炭素(C)は、全ての生命体にとって不可欠な元素。
(3) WikiPediaの記述を借用すると『炭素-炭素結合で有機物の基本骨格をつくり、すべての生物の構成材料となる。人体を構成する元素の約18%が炭素といわれている。これは蛋白質、脂質、炭水化物に含まれる原子の過半数が炭素であることによる。光合成や呼吸など生命活動全般で重要な役割を担う。地表での炭素の重量比は0.08%にすぎないため、生命は自然界にあるわずかな炭素をかき集めてかろうじて成立している』とあり、如何に炭素が需要な元素か分かる。
(4) 色々な産業活動でも炭素がなければ成り立たない。リチウムイオンバッテリーのアノードもほぼ100%炭素である。
(5) 炭素がいじめられているのは「二酸化炭素地球温暖化に貢献している」と言うだけである。
(6) 今の時点での地球温暖化は大変困るが、数万年前に氷河期から脱するために極めて役に立った現象であるのも事実。
(7) なので、「脱炭素」と言う言葉で「炭素」を悪者にするのはかなり違和感がある。
(8) 発電セクターでも、火力発電所がCO2を排出するが、それ以上に、温まった排水を海に垂れ流して海水温度上昇を引き起こしている問題の方が大きいと思うのだが....
(9) いじめられるべきは、野放図にエネルギー消費を増やした人間だと思う。
(10) 消費されたエネルギーは、有効に活用されようが無駄に捨てられようが、最終的には「排熱」となり地球を温める。なので、エネルギー消費を減らすことが一番大事だと思う。
(11) 発電セクターで化石燃料使用をやめて、再エネを利用するのはもちろんであるが、それ以外にやることは多い。