=脱炭素の話(14)=

「運輸セクター(スクールバス)」
昨日、カリフォルニア州には、14,000台の公共バスが走っていると書いたが、実はもっとたくさんのバスがカリフォルニア州を走り回っている。
それは、スクールバス。
その台数、なんと25,000台。公共バスの2倍近くである。
スクールバスは、主に朝・夕の登下校時に運転され、運転距離も短く、運転されている以外の時間帯は、専用の駐車場に停まっているので、こちらの方も制度化ができそうな気がするが、まだZEV化の日程が決まっていない。
アメリカの地方自治体にとって教育予算が非常に厳しく、教師の給料も低く抑えられている状況で、優先順位付けが難しい。
写真は、ロスアンジェルス スクール ディストリクトのスクールバス駐車場。
https://ww3.arb.ca.gov/msprog/schoolbus/schoolbus.htm
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=脱炭素の話(13)=

「運輸セクター(大型バス)」
運輸セクターの中で、大型バスは大きな割合を占める。
カリフォルニア州には、14,000台の公共バスが走っているとのこと。
これらの公共バスは2040年までに全てZEVにしなければいけないというルールを、昨年の12月にカリフォルニア州(CARB : California Air Resources Board)が制定した。
段階的には、
(1) 2023年(4年後)には、購入バスの25%をZEVにしなければいけない。
(2) 2029年(10年後)には、購入バスの100%をZEVにしなければいけない。
(3) 2040年(21年後)に運行しているバスはすべてZEVでなければいけない。
となる。
ZEVバスはまだまだ高価であり、充電インフラも大変であり、比較的小さな運営会社には初期投資的に辛い。
州政府は、「cap and trade」や「gas tax」を組み合わせた支援策を考えている模様だが、筆者は不勉強でまだ調べきれていない。
ちなみに、2018年12月の時点でカリフォルニア州で運行されているZEVバスは132台とのこと。
132台から14,000台へ(2019年→2040年の20年間で)。
これらのバスの平均寿命を10年とすると、毎年1,400台の買い替え需要が発生するが、電動バスを製造できるメーカーは限られおり、各社極めて繁忙で、バックログを何百台も抱えているということである(この話題は追って)....
写真は最近急成長のProterra社の電動バス。サンノゼ空港が10台購入し、SJC空港内を走り出している。

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=脱炭素の話(12)=

「運輸セクター(大型車)」
大型車両はカリフォルニア州に844万台登録されている。
仮に、これらが全て電気自動車になったと仮定すると一体どれだけのバッテリーが必要だろうか?
仮に1台あたり平均100kWh(Model S並み)と仮定すると、
 8,440 k 台x 100kWh = 844,000 MWh = 844 GWh
となる。テスラ・パナソニックのギガファクトリー(1)の年間製造キャパが35GWhなので、カリフォルニア州の大型車向けにひたすらバッテリーセルの製造を続けたとしても、
 844GWh÷35GWh/年=24年
必要という計算になる。
コストはというと、仮にバッテリー(pack)の製造コストが2024年で$94/kWh(*)とすると、
 844GWhx$94/kWh=$79,336M(約8.5兆円)
となる....
う〜〜ん、道は遠い....
(*) source:BloombergNEF
(**)写真はTeslaの電動トレーラーSemi(Teslaホームページより)

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=脱炭素の話(11)=

「運輸セクター」
大型車両はカリフォルニア州で844万台登録されているが、これらから排出される温暖化ガスは、全カリフォルニア州の排出量の8.4%に達する。
さらに、温暖化ガス以外にも、健康に害のある排気ガスたくさん排出する。
大型車両の場合、電動車が良いのか、水素発電車両(Fuel Cell Bus/Track)が良いのか議論が分かれるところであるが、個人的には
 (1) バス:電動バス(夜間に必ず駐車場に戻ってくるので)
 (2) 大型トラック:水素(州をまたがる長距離の高速道路をひたすら走らなければいけないので)
という棲み分けが良いのでは考えている。
さて、ワシントン州オレゴン州カリフォルニア州の9つの電力会社および2機関は、西海岸において、電動トラックによる長距離輸送に必要な充電インフラを整備するための連合(coalition)を設立した。
「West Coast Clean Transit Corridor Initiative」というこの取り組みでは、カナダとメキシコの国境間を結び、製品輸送のメインルートであるI-5に焦点を当てるが、その距離は1,300マイル(2,000km)以上ある。
ちなみに、日本の最北端(択捉島)と最南端(沖ノ鳥島)の直線距離は、3,020kmです。
調査期間は本年中とされており、2020年に提言が発表される見込み。
先は長いが、2040年(21年後)にはガソリンで動く大型車両は限りなくゼロにしたい。

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HECOが計900MWに及ぶ再生可能エネルギー調達契約の詳細について公表

HECO社は、同社の再生可能エネルギー調達計画の詳細を公表した。同計画は今後、公共事業委員会(PUC)にて検討される。同社は約900MWの新規の再生可能エネルギーの調達を計画しており、米国の電力会社の単独調達としては最大規模である。
新規調達を目指しているのは、オアフ島で594MW、マウイ島で135MW、ハワイ島で32から203MWであり、太陽光発電だけではなく、他の利用可能な再生可能エネルギーでの調達となる可能性もある。また、独立したエネルギー貯蔵システムやグリッドサービスの調達も可能となっている。
新しい電源のいくつかは、オアフ島にある180MWの石炭発電所マウイ島のKahului火力発電所など、閉所を予定している化石燃料系の発電所を代替する役割が求められる。

CPUCがルーフトップソーラーの予算や導入状況に関する年次報告書を公表

 
カリフォルニア州公共事業委員会(CPUC: California Public Utilities Commission)は、州のルーフトップソーラーに対するインセンティブプログラムの予算や申請状況を詳細に示した年次報告書を公表した。当該プログラムは2007年に設立された。本報告書の主な内容は以下の通り:
• $3.3Bの予算を伴う本プログラムを通じ、2018年末において7,228MW、835,252の顧客サイトにルーフトップソーラーが設置されている。当初の目標は3,000MWであり目標達成率は241%となっている。
• 2018年にはPG&E社、SDG&E社、SCE社の管轄地域に1,217MW分のルーフトップソーラーが設置された。これは2017年の設置容量と比較して5.2%の増加となった。
• 2007年から2018年の間、設置された家庭用システムの平均コストは52.6%減となり、1Wあたり$9.61から$4.55に下がった。家庭用以外の太陽光発電システムの平均コストは60.1%減となり、1Wあたり$9.46から$3.72に下がった。
 

HECOがハワイ州における電気自動車充電インフラの需要に関する調査報告書を公表

HECO(Hawaiian Electric Companies)社は、同州における電気自動車用充電インフラの需要を調査した報告書を公表した。同報告書では、2030年までに現在の10倍以上となる3,651の公共充電器が必要になると試算している。また、2030年には46,720の民間充電ポートが必要になるとも予想されている。下表で、必要となる充電器のタイプとその設置場所について示している。
HECO社は、これらの基礎データを活用し、公共事業委員会(PUC)に対して「Direct Current Fast Charger」のパイロットプログラムの拡大や、集合住宅やオフィスに充電インフラを提供するためのパイロットプログラムの新設を要請する。