= 脱炭素の話(5) =

ローレンスリバモア国立研究所より、「全米のエネルギー消費の流れ(2018年)」が発表されたので、つらつら眺めてみる。
- エネルギー消費という面でも、運輸(28%)と工鉱業部門(26%)の両方で、半分以上を消費している
- 家庭(12%)や、商業部門(10%)は全体から見るとわずかである。
- 発電部門は38%のエネルギーを消費。
- 一次エネルギーに占める再エネの割合は11.4%。まあまあ健闘。
- 相変わらず、有効に使われるエネルギー(32%)よりも、無駄の捨てられるエネルギー(68%)の方が圧倒的に多い。

(注意:この図は、「エネルギーの流れ」で温暖化ガスの排出量ではありません。また、全米のデータであり、カリフォルニア州のデータではありません。数字の単位はQuadsですが、総合計が101.2 Quadsなので、%とほぼ一致です。)

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=脱炭素に関する話題(4)=

カリフォルニア州には、2,500万台の乗用車が登録されているわけだが、当面のカリフォルニア州の目標は『2030年(11年後)までに500万台のZEVを増やすこと』である。
これでやっと1/5。 道は遠い。
4年前(2015年)に、前の州知事が、「2030年までにカリフォルニア州での自動車とトラックのガソリン使用量を50%削減させる」という州法を通そうと頑張ったが、この時は「さすがに無理でしょう...」ということで通らなかった。
しかし、道路を走る車の1/3程度がZEVになれば、ガソリンスタンドは半分近く潰れる。
そうなればガソリン車の方が不便で維持費が高くなり、ZEV車に切り替えるモーメンタムが増え、一気に流れが変わる「フリップポイント」が来ると思うのだが....

https://www.gov.ca.gov/2019/09/20/ahead-of-climate-week-governor-newsom-announces-executive-action-to-leverage-states-700-billion-pension-investments-transportation-systems-and-purchasing-power-to-strengthen-climate-resili/?fbclid=IwAR0HQS3_Z_Q2g9GEt9aPNKw4mFwSg1GfSrBRosroViAlDaxEB6Seu9OOFaE

=脱炭素に関する話題(3)=

カリフォルニア州の運転免許保持者と、登録されている車両数は下記の通り(*)。
(1) 運転免許保持者 2,713万人
(2) 登録されている乗用車数 2,564万台
(3) 登録されている大型車両数 844万台(**)
ちなみに、カリフォルニア州の人口は、3,956万人。
シェアリングカー・公共交通機関・乗り捨て可能バイク等をもっと増やして、登録自動車数をこれから10年で2割程度減らせればいいのだけど、なかなかそうもいかないでしょう。
LA、サンフランシスコ、シリコンバレーの交通渋滞は年々ひどくなるばかりだし。

(*)DMVが発表した2018年末の数字です。
(**)トラック、トレイラー、商用車両等の合計値です。

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=脱炭素に関する話題(2)=

カリフォルニア州が2050年に温暖化ガス排出を1990年比で80%削減するためには、運輸部門の排出を大幅に減らす必要がある。
現在のカリフォルニア州のZEV(Zero Emmission Viehcle)規制値は、下表の通りで「2025年に各自動車会社はZEVを『22%』以上販売しないといけない」ところまで決まっている。
2026年以降を筆者が勝手に予想したものがその次のグラフ。
現在の自動車会社へのZEV規制値(販売台数%)は、毎年2.5%づつ増えているが、これを2026年以降もそのまま2.5%づつリニアに増やしたケースが「赤」。
2026年以降、規制値を22%から毎年10%づつ指数的に増やしたケースが「青」である。
赤のケースではZEVの販売割合が100%になるのは2057年。
青のケースではZEVの販売割合が100%になるのは2041年
筆者の予想は青でガソリン車販売禁止は2035年から2040年のどこかになると思う。

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=脱炭素に関する話題(1)=


カリフォルニア州は、温暖化ガスの排出量を、2050年までに、1990年比で80%減らそうとしているが、温暖化ガス排出量の最新データを発表した。
このレポートをツラツラ眺めていると、いろいろ面白い。
(1). 同州は経済成長が全米の他州を上回っているが、温暖化ガス排出量は減り続けている。2017年のデータによると、カリフォルニア州の経済成長率は3.6%と米国平均を1.4%も上回っているが、州法にて定められた2020年の温暖化ガス削減目標を2017年で早々と下回った。
(2). 最も削減量が多かったのは発電部門であり、前年と比較し排出量が9%削減された。今では排出量全体の14.7%しか占めておらず、今後再エネ発電が増えるに従って、2045年にはほぼゼロになるであろう優等生。
(3). 運輸部門からの排出量は0.7%増加しており、州全体の排出量の40.1%を占めた。
(4). 運輸部門と産業部門の両方で61%であるが、この分野での削減が今後の一番の課題である。
カリフォルニア州がいつガソリン車の販売を禁止するかが大きなポイントである。2035年?それとも2040年?

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CARBが2035年までに空港のシャトルをZEVとする目標を設定

カリフォルニア州大気資源委員会(CARB: California Air Resources Board)は、2035年までに空港内のシャトルをゼロエミッション車とする規制を承認した。
この規制は、ターミナル・駐車場・他の空港施設間を結ぶバンやバスが運行されている大規模な空港の全てを対象としている。ゼロエミッション車への移行スケジュールは、2027年末までに33%のエアポートシャトルをゼロエミッション車とし、2031年末までに66%、2035年までに100%にするよう設定している。